5街道の1つ、甲州街道を歩いてキリストの福音を伝える「ウォーク・ウィズ・ジーザス(WWJ) 歩いて伝道 甲州街道」が9月29日、210キロに及ぶ行程を終え、最終目的地である東京・日本橋にゴールインした。
WWJが長野県諏訪市を出発したのは9月4日。その後、山梨県、神奈川県、東京都を、9月4~8日、25~29日の前半・後半に分けて、計10日間歩いてきた。最終日の29日は、朝7時に宿泊先の日本基督教団聖蹟(せいせき)桜ヶ丘教会(東京都多摩市)を出発し、高井戸、新宿を通り、お昼頃、日本橋に到着した。
WWJは、超教派の伝道団体である総動員伝道(代表:姫井雅夫牧師)の主催で、2009年、日本のプロテスタント宣教150周年を記念して始められた。これまで東海道、中山(なかせん)道、北陸・北国街道、奥州街道、甲州街道と、日本の歴史的な街道である5街道を歩いてきた。
姫井氏は疲れをまったく感じさせずに次のように語った。「地方の教会で主にある交わりを持ち、道行く人々に対しては声を掛けてトラクトを渡すなど、本当によい宣教の時となり、すばらしい時間を神様は与えてくださったと感謝しています」。今回、WWJが用意したトラクトは5千枚。家々の郵便受けに入れるだけでなく、数百枚は出会った人に直接手渡すこともできたという。
歴史のある街道を歩いて伝道するというアイデアは、ファミリー・フォーラム・ジャパン(代表:千葉明徳牧師)で責任役員を務めるジョナサン・ベネディクト氏が提案したもの。ベネディクト氏は次のように話す。
「この働きを通して学んだことは、神様は本当に教会と教会のつながりを大切にしているということです。聖書にある御霊の一致を大切にしていると思いました。行程の中で初めて訪れた教会、初めて出会った牧師と新たな交流が生まれる中で、神様が日本を愛し、教会を愛しているということを深く見せてもらいました」
宣教師の息子として山口県岩国市に生まれ、神奈川県藤沢市で育ったベネディクト氏にとって、東海道を歩いて日本の歴史をこの目で確かめることは、子どもの頃からの夢だったという。
「古い道を歩いていると、歴史をたくさん学びます。150年前、キリスト教を宣教することが許されて後も、キリスト教への抵抗は強かったようです。岐阜に行ったとき、歴史の詳しい牧師から、『ここに初めて宣教師が来た時は馬ふんを投げ付けられたそうだ』という話を聞きました。それでも宣教師たちは日本を心から愛し、諦めずに福音を宣べ伝え続けました。宣教師の息子としてこのことに感謝し、次の世代の人にこのビジョンをバトンタッチしていかなければと思っています」
WWJは、全国のキリスト教会から集められたウォークグループだが、ベネディクト氏は「皆ができることではないので、代表でさせていただいたということになります」と述べ、今の気持ちを次のように語った。
「今回、200キロに及ぶ行程を歩きましたが、ずっと神様が伴走してくださいました。1度も事故がなく、宿泊場所をはじめ、神様はその時その時に必要なことを与えてくださいました。この間、教団・教派を超えて幾つかの教会を訪ねましたが、どの教会も本当に宣教の思いに燃えており、イエス様の愛があって、やはり教会は1つ、キリストは1つということを深く感じました。それは大きな恵みで、どこに行っても温かい愛を感じました。ただ、やはり教会がまだまだ少ないと実感します」
次の御言葉がテーマ聖句だという。
群衆が飼い主のいない羊のように弱り果て、打ちひしがれているのを見て、深く憐(あわ)れまれた。そこで、弟子たちに言われた。「収穫は多いが、働き手が少ない。だから、収穫のために働き手を送ってくださるように、収穫の主に願いなさい」(マタイ9:36~38)
「イエス様は町や村を巡って福音を宣べ伝えました。そこで群衆を見て、『働き手が少ないな』と思われました。祈りの課題もそこにあります。牧師はみんな忙しく、信徒も足りない。もっと働き手を増やしていかないといけない。今回、訪れた教会でも、歩いている途中でも、『収穫のために働き手を送ってください』とずっと祈ってきました。
『こんなところにこんな人たちが住んでいるのか』など、大きな発見もあり、いろいろな出会いの中で、トラクトを手渡しながら、種がまかれたと感じています。今後は、聖書をきちんと教えて、収穫のための働き手を育てていくことが本当に必要だと思っています」
今回の甲州街道で5街道をすべて歩ききったWWJ。来年からは、これまでのように長い期間をかけて歩くことよりも、日数を短くし、もっと多くの人が参加しやすい形にしていくことを計画したいと言う。