原罪と罪とはどう違うのか。
原罪とは、人類の始祖(アダムとエバ)が犯した罪が、子孫であるすべての人間に及んでいるとの教理です。その聖書上の根拠は、ローマ人への手紙5:12ですが、簡単明瞭というわけではありません。
古代の教父アウグスチヌスは、「原罪とは、アダムから遺伝によって引き継がれた罪だ」と理解しました。しかし、それでは引き継がれた者の、罪に対する主体的責任が認められない、との欠点があります。
一方、罪とは「始祖アダムとエバが神の言葉に背いて、禁ぜられていた行為をしたこと(堕罪)により、神の元から神なきところへ脱落したのであるが、その子孫たる者はすべて、生まれたときから神なきところに居り、(それは罪の土台を形成しているのだが、)人間ひとりびとりは始祖の立場を引き継いでゆき、その土台の上に、自分中心になり、さらには、内心の罪へ、そして罪の行いへと発展させる強い傾向性を持っている。個々の人間は、その罪の傾向を止めることはせず、むしろそれを追認もしくは発展させていく。それが罪である」とします。
誰もその歯止めを完全になし得る人はいません。相対的に少ない人、多い人の差はありますが、誰も彼も、自分中心(エゴイズム)の罪になり、内心の罪へと発展しようとするわけです。そういう意味で、人類はみな罪人であるのです。
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