聖書という書物は、忍耐を教えています。今日の「百人一読」は、森ビル創業者の森泰吉郎です。
数年前、年末のある夜、大雨でびしょ濡れになりながら、寒い中、路上に立ち続けたことがあります。何のためでしょうか? 弟と従弟と一緒に数時間も、千葉県にある超有名ラーメン店の1杯を食べるために並んでいたのです。
しかしながら、ラーメンを食べるという目的を果たすだけなら、お湯を入れて3分くらい待てばすぐに食べることができる時代です。
聖書的に考えたいのです。聖書は、不正な方法でもうけることや、不正な方法で事を成すことを禁じ、ある時は涙を流して、ある時は汗を流して、そのような長い間の苦労を経て成功するようにと教えています。しかし、一般的にお金やコネがあるならば、楽な方法で早く事を成すこと(入学する、入社する、逮捕を免れるなど)ができます。
もう1つ、聖書的に考えてみます。皆さんが「えぇ!あり得ない!!」とか、「今は2017年ですよ。古臭いこと言わないで」と思われるかもしれませんが、聖書という書物は婚前交渉、不倫、要するに結婚関係外でのいかなる性関係や性交渉も禁じています。
つまり、結婚までは何が何でも性の純潔を守り抜き、そして結婚後は配偶者との間のみで性生活を楽しみなさいよ、と教えているわけです。
1番目のラーメンのことは、実際どちらでもよいと思います。本当においしいラーメンを食べたい方は長時間並ぶこともアリだと思いますし、時間がなく本当に忙しい、お仕事中の方は3分待ってすぐに食べられるラーメンが適しているかもしれません。
しかし、2番目と3番目のことはどうでしょうか。これは、大げさに聞こえるかもしれませんが、皆さんの今後の人生、未来を大きく左右するものだと思います。
早く、楽に、今をとるならば、お金やコネの力で何とかしてもらった方がよいかもしれません。お金、スグに結婚まで待てない、をとるならば、婚前交渉や同棲、風俗通いや売春へと至るでしょう。
聖書は、私たち人間にこれらの反対を教えているわけです。つまり、結婚まで待ちなさい。焦らない。お金よりも大切なものがある。未来を見据えなさい。苦しい道を選べ。忍耐しなさい。これが、非効率的、また、楽しそうでもなく、あなたにとって都合が悪いかもしれませんが、世界のベストセラーである聖書の教えです。
結婚まで待つことによって、本当に幸せな、後ろめたさや疑いがない夫婦間の幸せな結婚生活、性生活を送ることができます。焦らないことによって、あなたは自分の体を傷つけることを避けることができるだけでなく、パートナーの体を傷つけることも避けることができます。お金よりも大切なものを知ることによって、あなたの体をお金以下ではなく、お金より高価なものとして保つことができます。
未来を見据えることによって、将来をぐちゃぐちゃにする選択をしないで済みます。苦しい道を選ぶことによって、いつの日か楽な道を歩んでいると思います。忍耐することで、美しい人格、性格、品格が生み出されます。
アークヒルズや六本木ヒルズなどを運営する森ビルの創業者、森泰吉郎。彼の揮毫(きごう)した聖書の言葉が、アークヒルズのある場所に刻まれています。そして、その聖書の言葉こそ「患難が忍耐を生み出し、忍耐が練られた品性を生み出し・・・」という聖句を含む、新約聖書ローマ5:3、4です。(『100人の聖書』83、84ページ参照)
最後に、この聖書の言葉に注目していただければと思います。忍耐が練られた品性を生み出す、と書いてあります。とすれば、忍耐して結婚まで待つ、忍耐して苦しい中を耐え忍ぶ歩みには、素晴らしいものがついて来るということでもあると思います。
逆に言えば、忍耐せずに楽な道、早い道をお金やコネを使って選び取ること、また、忍耐せずに一時の快楽や情欲を満たしたり、愛の確認ということで体の関係を持ったり、お金のためにということで体を傷つけることによる結果は、悪いものでしかないということですね。
実際問題として、忍耐しない道を選ぶなら、いつか自分のとった方法が明るみに出てとんでもないことになり、そうでなくても、罪責感が一生ついて回るでしょう。また、忍耐しない道を選ぶ、一時の快楽やお金を求めるならば、性病や中絶といった傷を受けることになるでしょうし、幸せな信頼関係に溢れた夫婦生活も成り立たなくなるでしょう。
「時代遅れ!」とか「キレイごとだな」と思われるかもしれません。でも、森ビル創業者の森泰吉郎が揮毫した聖書の聖句「忍耐が練られた品性を生み出し」を握りしめて、忍耐する歩みを、忍耐する道を選びませんか。また、今までその道とは反対の生き方をしていたという方でも、今日から新しい生き方ができると思います。
新しい生き方は、聖書の聖句「忍耐が練られた品性を生み出し」を握りしめる生き方です。今日から、忍耐する道を選び取っていきませんか? 皆さんにとっての練られた品性、良いご褒美、そして将来の幸せは、この道にあります。
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【書籍紹介】
篠原元著『100人の聖書』
本書を推薦します!
「他の追随を許さない数と挿話」
――奥山実牧師(宣教師訓練センター[MTC]所長)
「牧師の説教などに引用できて便利」
――中野雄一郎牧師(マウント・オリーブ・ミニストリーズ)
「聖書に生きた偉人たちの画廊」
――峯野龍弘牧師(ウェスレアン・ホーリネス教団淀橋教会)
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