マルチメディア・ミニストリー「7MEDIA(セブンメディア)」が主催するクリスチャン向けの集会「SHINE(シャイン)」が、今年もペンテコステの時期(5月23日~6月4日)に合わせて開催された。そのイベントの1つとして「VISION2020フォーラム」が、5月26日に国立オリンピック記念青少年総合センター(東京都渋谷区)で行われた。3年後の東京オリンピック・パラリンピックを大きな伝道の機会ととらえ、2020年に向けてスポーツ伝道、教会改革の可能性を探った。
この日は5人のゲストがプレゼンテーションを行った。まず日本国際スポーツパートナーシップ(JiSP)代表の米内宏明氏が、メガ・スポーツイベントにおいて教会が持つ可能性について語った。米内氏は、オリンピックやW杯は市民の注目度や関心事が高いこと、地域が盛り上がること、世界の人々との交流の機会となることなどを挙げるとともに、日本人がいかにスポーツ好きであるかをデータを使って示し、日本で宣教を進めるためにスポーツを用いることが有益であることを伝えた。
JiSPは、国内外のスポーツミニストリー情報やリソースを共有する超教派クリスチャン・ネットワーク。JiSPでは、2020年東京オリンピック・パラリンピック終了後も、スポーツがミニストリーとして教会に定着し、リーダーが育っていくことを願っている。米内氏は、2020年をスパークリングさせて、24年までにそれを10倍の祝福にすることがJiSPのビジョンだとし、「Vision2024−10×10」を掲げた。
日本のキリスト教会ではスポーツは未踏の分野。米内氏は、そこに踏み込むことは大きな責任が伴うと話す。「2014年からすでに祈り始めている。エリシャがエリヤから『あなたの霊の二つの分をわたしに受け継がせてください』と言ったときに、エリヤは難しいと言ったが、聖書ではそのとおりになった(列王下2:9)。それを支えに活動していく」と述べ、参加者に祈りを呼び掛けた。
続いてグレース教会開拓ネットワーク代表の福田真理氏が、教会開拓者を助けるネットワークの働きについて説明した。2020年までに10の教会を始めることを目標として昨年立ち上げた同ネットワークのコアバリュー(中心的な価値)は、①福音中心、②都市フォーカス、③教会開拓運動だ。具体的には、福音によって友情をはぐくむムーブメントミーティング、テキストなどの翻訳プロジェクト、妻へのサポート、そしてインキュベーター(開拓支援)など。すでに3人の開拓伝道者が与えられているという。
福田氏は、前ベツレヘム・バプテスト教会牧師のジョン・パイパー氏が、宣教においては「私が行く」か「送る」かのどちらかだと語ったことを紹介した。そして、10の教会改革、東京ムーブメント、改革伝道者、効果的トレーニング、人的・経済的必要が満たされるように祈ってほしいと訴えた。
次に登壇したのは、フォーラムの主催者であるセブンメディアの代表アンディ・ゲーム氏。セブンメディアは、新しいマルチメディアを通して日本の若者たちを励まし、祈りと伝道の場を広げるなど、その取り組みはさまざまな社会領域において先駆的な働きとなっている。ゲーム氏は、「福音を多くの人に伝えるために、メディアをどのように使うかは非常に大切」と話す。
ゲーム氏は英国の宣教師で、英国国教会発祥のキリスト教入門講座「アルファ」を日本に紹介した人物。日本の若者が教会に行かないことや、子どもたちの貧困の問題にも触れながら、「福音が人の生き方を変えていく。家族、会社、町も変えていく」と伝道の必要性を説いた。そして、「わたしたちの内に働く御力によって、わたしたちが求めたり、思ったりすることすべてを、はるかに超えてかなえることのおできになる方」(エフェソ3:20)が助けてくださることを伝え、集まった人たちを励ました。
続いてクリスチャンビジョン・アジア太平洋総主事のリチャード・ダニエル氏が、「なぜデジタルを使った伝道なのか」と問い掛けた。それは、人は革新性のあるものや新しいものには興味を示すからだという。ダニエル氏は、「バナナは腐れば、いずれはなくなってしまうが、人間は地獄に落ちても腐ってなくならず、永遠に地獄で苦しむことになる。だから、一刻も早く福音を知らせなければならない」と語った。「失敗をしてもいい。失敗しても、神様はその人間を使っておられる。だから、恐れず大胆に語ってほしい」と力を込めた。
デジタルを使った伝道を模索中だと明かすダニエル氏は、「いろいろなことを試してほしい。私たちが未来を放棄すれば、未来が私たちを嫌なふうに作り変えてしまう」と述べた。さらに、「もし重荷を抱えてしまったなら、すぐに神様にゆだねてほしい」とも付け加えた。
最後にトランスフォームワールド2020のジョン・フー氏が、「世界中の神の子へ正しい情報が伝えられ、団結し、祈りに導かれる時、さまざまな領域において霊に導かれるムーブメントが生み出されていく」と話し、14歳までの純粋な心に福音を届けることの重要さを指摘した。また、「あなたがたは行って、すべての民をわたしの弟子にしなさい」(マタイ28:19~20)との大宣教命令を引用して、「20世紀は子どものことを無視してきた」と話し、幼い世代を弟子訓練するか、しないかは、命の問題に関わると語った。さらに創世記4章のエピソードを引き合いに出し、こう締めくくった。「主がカインに『お前の弟アベルは、どこにいるのか』と聞かれた時、『知りません。わたしは弟の番人でしょうか』と答えた。しかし、私たちはカインと違って、兄弟姉妹の番人にならなければならない」
プレゼンテーション終了後、全員が再び登壇し、ニューホープ横浜牧師の真島亨氏がコーディネーターとなり、パネルディスカッションが行われた。それぞれがコメントを出し合い、最後には会場からの質問に答える形で、教会を超えて宣教を協力し合うことや、次世代への継承について話した。
今年で5年目となる「SHINE」について、主催者のゲーム氏は次のように語った。「昨年は、日本の教会のリーダーがどういうアウトリーチをしていけばいいのか見た年。今年は、次世代のへのアプローチを見ることができた。また、アジアのリーダーを迎えることもでき、韓国、マレーシア、台湾、香港の宣教ネットワークにつながった。このことは神の導きではあるが、5年の実績と積み重ねがあったからこそと思う」