日本バプテスト連盟理事会は、沖縄の米軍基地反対運動のリーダーとして活動していた沖縄平和運動センターの山城博治(ひろじ)議長(64)らが昨年10月に逮捕され、現在も勾留が続いていることに対して抗議する声明(9日付)を発表した。
同理事会は、山城さんらが接見禁止の状態で長期間勾留されていることについて、憲法が保障する「表現の自由」(21条)、「行動の自由」(22条)の侵害に当たると指摘。勾留の理由とされている罪証隠滅の恐れもなく、検察は公判維持のために必要な捜査を既に終えているとし、「接見禁止という厳しい措置をしてまで起訴後の勾留をする理由は認められません。110日以上の勾留は『不当に長い拘禁』(刑事訴訟法91条)に当たる違法行為です」としている。
山城さんは昨年10月17日、高江のヘリパッド建設に反対する抗議行動中、有刺鉄線1本(時価約2千円相当)を切断したとして器物損壊容疑で逮捕された。その後、沖縄防衛局職員への傷害・公務執行妨害容疑や、辺野古新基地建設のため工事を妨害したなどとして再逮捕され、勾留は17日でちょうど4カ月になる。
長期勾留については、国際人権団体のアムネスティ・インターナショナル日本支部も懸念を示す声明を発表している。アムネスティ日本は「当局は、軽微な犯罪での逮捕・勾留・起訴を繰り返している」「上記の罪の証拠に関して隠滅の可能性は極めて低く、その他の要件についても該当する理由はない。国際人権基準は、公判前に釈放することを前提としており、このような拘禁は身体の自由への侵害である」などとし、山城さんの釈放を要求。アムネスティ日本によると、山城さんは家族とも面会できない状態だという。
山城さんは2015年、悪性リンパ腫が発覚し、5カ月間入院していたことがある。同理事会は声明で、山城さんの健康状態についても言及し、「これ以上の勾留はさらなる体調の悪化を誘発し、命の危険も危惧されます」としている。
また、山城さんらに対する一連の措置は、辺野古の新基地建設や高江のヘリパッド建設に反対する人々への「見せしめ」だとし、「『基地不要』と政治的意思表明をしている沖縄の民意に対する背反と抑圧です」と非難した。
声明では、「教会は、国家権力によって冤罪(えんざい)をかぶせられ不当な逮捕・拷問・勾留を受けた上で処刑されたイエスを、自らの罪を悔い改めつつ、世界のキリスト(救い主)として信じ仰いでいます」と、信仰的な面についても言及。「世界中で同じような境遇にある『最も小さくされた人たち』の解放のために努力することを決意しています」としている。