日本バプテスト連盟性差別問題特別委員会は18日、沖縄で13日に起こった米兵による女性暴行事件を受けて、安倍晋三首相、オバマ米大統領らに宛てた「沖縄、米兵による女性への性暴力に対する抗議文」を発表した。同委員会は、「加害者・日本政府・米政府による被害女性への謝罪、加害者が公正に裁かれること」と同時に、「このような事件を引き起こす、新基地の断念、すでにある米軍基地の一日も早い撤去がなされること」を求めるとしている。
13日、那覇市で女性観光客をビジネスホテルに連れ込み暴行したとして、沖縄駐留の米兵が準強姦(ごうかん)容疑で逮捕される事件が起こった。容疑を認める供述をしているという米兵は、名護市辺野古に隣接し、新基地建設の予定地である米軍キャンプ・シュワブの一等水兵であった。同委員会は抗議文で「キャンプ・シュワブから60キロの那覇へ、『女狩り』(沖縄戦後、沖縄で米兵による性暴力目的の行動をこう呼んでいた)の目的で来たと考えられる」とし、「腹立たしく、悔しく、悲しい。沖縄戦後、連綿と続いている事件だからだ」と述べた。
また、戦後71年の沖縄の歩みを、「沖縄は、米軍基地との共存を強いられ、米軍基地が集中させられ」、「今日に至るまで米兵による事件事故が起こり続けている」と振り返り、「日米地位協定によって、米兵の人権は守られ、被害を受けた民間人の人権はないがしろにされている。いまだ、米兵は、『沖縄』を沖縄戦の戦利品と認識している」と、「軍隊のあるところにある、構造的差別」を強く批判した。
さらに、乱暴やレイプが、被害者自らが訴えなければ事件にならない親告罪であることについて、「傷つき、立ち上がれない被害者にとって二重にきついこと。多くの被害者が泣き寝入りする理由がここにある」と同情を示し、被害女性の尊厳が守られること、被害女性が癒やされ、立ち直ることを祈るばかりだとした。同委員会は、「ひとりの女性の人権がないがしろにされることは、沖縄をないがしろにすることだ。ひとりひとりの生と性、ひとりひとりに与えられている尊厳を大切していく当委員会の使命によってここに抗議する」と結んでいる。
「沖縄、米兵による女性への性暴力に対する抗議文」の全文は、日本バプテスト連盟のホームページで公開されている。