8月から12月まで17回にわたって、童話「星のかけら」を連載していただきました。一通り出来上がっていた作品を、話のつながり具合や1回分の長さなどのバランスを考えて、上手に編集していただいて、毎週火曜日に掲載という形になりましたので、お忙しい中で、時間を割いて文体を整えたり、誤字、脱字の訂正をしてくださったり、編集者のお骨折り、本当に感謝です。ありがとうございました。
教会の友や、遠くにいる友人、知人からも「読んでいますよ」という励ましの声を頂きました。ただ、インターネットができない方もかなりおられ、プリントアウトして回覧したりもしましたが、高齢者の多い教会では、難しいところもあるとも感じました。
お顔を見たこともない方々、読んでいただいてありがとうございました。とても励まされました。クリスチャントゥデイの輪の中に加えられて幸いでした。
もともと、本を読むのが苦手な孫のため、9歳の誕生日のプレゼントとして書き始めた童話です。最初の読者は家族だけでした。教会が遠くて、親も働いていてなかなか出席しにくい。教会学校の生徒も少なくなり、現実の教会では独りぼっちに近い。そういう子どもは孫だけではないでしょう。教会学校で友達に出会って仲良くなり、一緒に冒険をする。そういうお話を書きたいと思いました。
ファンタジーの舞台は、外国ならお城やお屋敷や古い教会が似合うかもしれません。日本では、神社やお寺は舞台になるかもしれません。でも、教会はどうでしょう。あまり見当たりませんね。
100年以上の歴史がある田舎の古い教会なら、小人の出てくる舞台になるかもしれない。そう思いました。子どもたちが小人と初めに出会う古い田舎の教会は、夫が短期間奉仕していた房総にある教会がモデルになりました。塔はないものの、植物園のような広い庭があり、敷地のど真ん中に会堂が建っている。
月山常雄さんのモデルにさせていただいた方は、「神様の名前は不思議というのですね」というのが口癖でした。士師記13章18節の言葉ですが、不思議という名前の神様が不思議なことをしてくださる。だから「ああ、祈りましょう」と、そういう祈りの人でした。小人と親友になってテレパシーで交流できると思えるような方でした。
クリスマス祝会に登場するサンタクロースは、長くロシアに赴任しておられた教会員の方がモデルです。小さい頃、孫は本当にロシアから来た100歳のおじいさんだと思っていたようです。今はもう分かってるぞと言っていますが。
侃斎(かんさい)さんのモデルは亡き夫です。おチカさんのモデルは夫の母です。田舎の家はいつも近所の人たちでにぎわっていました。お金を入れるマッサージチェアまであり、まさに私設老人いこいの家でした。夫はUFOや不思議なものに興味を持っていましたし、2人とも小人の保護者になれる柔らかい資質を持っていたと思います。和歌山の出身ですので、夏休みに強引に、和歌山にみんなを連れて行きました。
小人のビタエさんの名前は「いのち」、アルムのお父さんのノードという名前は、創世記4章の「エデンの東、ノド(さすらい)の地」から付けました。
さて、このお話を書いた後、私は時々どこからか、小人がひょっこり出てくるような気がする、そういう思いを持つことがあるのです。
クリスチャントゥデイの事務所は岩本町にありますが、たまたまなのですが、私は月に2回ほど岩本町のクリニックに通っています。
そのクリニックのすぐ近くに金山神社という神社があります。周りはビルやマンション。それなのに、神社があるのです。鍛冶に関係する神様を祭った神社でふいご祭りというお祭りなどもあるそうです。お正月前には神社に竹が運ばれて、門松が作られます。近所のビルの前にその門松が飾られる。地域に根差している感じです。けれど歴史のある神社かと思ったら、そうでもないようなのです。
昭和初期にできた神社のようですが、鍛冶、ふいご、ということで「星のかけら」にちょっと出てきます鉱山資料館やタタラとも関係がありそうで、通りがかりに中をのぞくと、ずんぐりした頑固そうな小人が隠れているような、そんな気がして、ビタエさんに教えてあげたいような気がしたりします。
アドベンチャー、冒険を子どもたちと一緒にしました。とどまっていないで、次の冒険に出ていきたいと思います。
「主はアブラムに言われた。『あなたは生まれ故郷 父の家を離れて わたしが示す地に行きなさい・・』アブラムは、主の言葉に従って旅立った」(創世記12章1節以下)
冒険、アドベンチャーは、神様が共にいてくださるから、安心してできるのだと思います。
お読みいただいてありがとうございました。
■ 【童話】星のかけら(1)冒険のはじまり・その1 和泉糸子
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