世界最大の刑務所伝道団体「プリズン・フェローシップ」は、今年のクリスマスに向けて、14万世帯余りの受刑者の家庭に子ども用聖書を無償配布する。
プリズン・フェローシップは、受刑者の子どもたちにクリスマスプレゼントを贈るプログラム「エンジェルツリー」を全米で推進しており、今年は「アドベンチャー・バイブル」(米ゾンダーバン社の子ども伝道部門「ゾンダーキッズ」発行)を、受刑者の家庭全てに無償配布すると発表した。対象となる全家庭に聖書を無償配布するのは、同団体にとっても初めてで、各家庭には同団体に寄せられたクリスマスプレゼントも併せて贈られる。
「実を言うと、私たちはこの計画のための援助資金を非常に楽に調達することができました」と、プリズン・フェローシップのジェームズ・アッカーマン会長はクリスチャンポストに語った。「私たちは今年、旧新約完全版の高品質な聖書を手に入れる機会を、既に受刑者の家庭に届け始めています」
プリズン・フェローシップは、毎年エンジェルツリーを実施しており、教会やボランティアが、受刑者である親に代わって、子どもたちにプレゼントを購入し、寄贈する機会を提供している。
今年は、30万人余りの子どもたちに贈り物をするだけでなく、受刑者の子どもたちの家庭14万世帯に、英語かスペイン語のアドベンチャー・バイブルが無償でもらえる引換券を送付する。保護者や子どもたちはインフォメーション・カードに必要事項を記入し、プリズン・フェローシップに返送するだけで、聖書を受け取れる仕組みだ。
「もちろん、100パーセントの応答があるとは思いません。私たちはそれを期待しているわけではありません。しかし高い応答率があることを期待しています。というのは、今回贈られるのは旧新約完全版の子ども用聖書だからです」と、アッカーマン氏は言う。「私たちは既に信仰によって計画を進めており、初回分の聖書は印刷済みで、インフォメーション・カードが届き始める頃には倉庫に搬入する予定です」。引換券の返送は無期限とされている。
内容を把握するのに高度の識字能力を必要とする上級者向け聖書とは対照的に、子ども用聖書を無償配布することによって、子どもだけでなく他の多くの家族にも読んでもらえる可能性が十分にあると、アッカーマン氏は語る。
「アドベンチャー・バイブルは、見た目もとてもきれいです。たくさんの挿絵や面白い記事、地図や写真などがふんだんに掲載されています」とアッカーマン氏。「アドベンチャー・バイブルはとても魅力的ですので、ただ聖書として子どもたちに読まれるだけでなく、神の真理を探求する定期的な読み物になることを期待しています」と言う。
「また、保護者の読書レベルが余り高くない場合もあります」と、アッカーマン氏は続けた。「そういうわけで、アドベンチャー・バイブルが小さな子どもたちに加え、年上の子どもたちにも読まれ、時には保護者にも読んでいただいて、世帯全体で用いられる家庭用聖書になることを私は期待しています」
アッカーマン氏は、今回、プリズン・フェローシップの聖書配布目標が達成でき、全ての対象世帯にクリスマスプレゼントを用意できたことは、何千人もの献金者のおかげだと述べた。
「1人当たりの献金額は、25ドル(約2600円)から数十万ドル(数千万円)の幅があります」とアッカーマン氏。「しかし、たとえ25ドルでも、何冊かの聖書を買えるわけですから、お金の使い方としては賢明です」
エンジェルツリーについてアッカーマン氏は、受刑者人口が増え続けているため、プレゼントを必要とする子どもの数も毎年増えていると述べた。また、800~千人もの子どもたちにプレゼントを提供している教会も幾つかあるという。
昨年は、全米の数千教会のボランティアにより、30万人余りの子どもたちがプレゼントを受け取ることができた。しかし地域によっては教会やボランティアの財政状況が厳しく、プレゼントを用意することができない地域が毎年あり、そういったギャップを克服していかなければならない苦労が常にあると、アッカーマン氏は述べた。
地域間のギャップを埋めるため、プリズン・フェローシップは裕福な地域の教会やボランティアに、子どもたちのプレゼントを買うためのギフト券を購入してもらっているという。そのギフト券は、財政が苦しい地域に送られ、現地の教会によって対象の子どもたちに配布される。
「今年は計画がうまく進んでいますが、これからもまだまだギャップを埋めていかなければならないため、私たちは寄付を求めています」と、アッカーマン氏は付け加えた。