【CJC=東京】スリランカでは、タミル人の独立を求める反政府武装組織『タミル・イーラム解放のトラ』(LTTE)と、シンハラ人主体の政府との内戦状態が80年代から続いているが、4月6日朝にコロンボ近郊ガンパハ県で行われたマラソン大会のスタート時に自爆テロとみられる爆発があり、カトリック信徒のジェヤライ・フェルナンドプレ高速道路・道路開発相(55)と92年のバルセロナ五輪男子マラソン代表K・A・カルナラテネ氏(47)を含む14人が死亡、負傷者も50人以上に上った。
治安当局は、LTTEの自爆攻撃部隊『ブラック・タイガー』の犯行と見て捜査している。マラソン大会は、人口の約7割を占める仏教徒主体の多数派シンハラ人と、同約2割のヒンズー教徒主体の少数派タミル人との交流を促進するイベントの1つだったという。
フェルナンドプレ氏は首相候補とも目される与党幹部で、強硬なLTTE批判派だった。
スリランカの教会は、フェルナンドプレ氏が殺害されたことに危機感を抱いている。
英国国教会(聖公会)のデュリープ・ドチッケラ監督は、「共同体を作るためのスポーツ計画が、突然、乱暴にも粉砕された。挑発的暴力行為は恐怖、疑念、そして怒りを広げる。共同体の溝を広げ、平和な対話への可能性を小さくする」と悲しみを表明した。
超教派の『社会的行動のためのキリスト者連合』のアインスリー・ジョセフ氏(カトリック)は「このような殺害は戦争商人を強めるだけ。政府にとって大損失だ」と語った。
この1月には、タミール族との休戦停止直後にD・M・ダッサナヤケ国家建設相が殺害され、閣僚殺害はフェルナンドプレ氏で今年2人目。