群馬県最古の私学・共愛学園(群馬県前橋市)が4月、新たに共愛学園小学校を開校した。その第1回目となる入学式が7日、同校プレイズホールで執り行われ、「愛」を意味するボルドーの制服に身を包んだ52人の第1期生が、新しい学校生活をスタートさせた。同校のスクールモットーは、同学園の理念でもある「互いに愛し合いなさい」。キリスト教の教えに基づく情操教育とともに、1年生からのネイティブ教員による英語教育、アフタースクールでの午後7時までの児童預かりといった、「新しい教育」が注目を集めている。
入学式は礼拝形式で執り行われ、新入生も、式直前に担任教師と共に練習した賛美歌「うれしいあさよ」「このはなのように」などを、大きな声で歌った。同学園宗教主任の荒谷出(いづる)氏が、ヨハネによる福音書15章12~17節を朗読し、新入生を祝福する祈りをささげた。
式辞を述べた大川義(ただし)校長は、同校のスクールモットーについて「学校が一番大切にする『互いに愛し合いなさい』というのは、自分を大切にし、さらに他の人も大切にすること」と説明し、「ここに集められた全員が、神に選ばれた人たち。近いところから、遠いところから友達が集まったのは、私たちの力を超えた目に見えない神の働きによる」と話した。
また、童話『星の王子さま』から「大切なことは目に見えない」、聖書から「私たちは見えないものに目を注ぐ」という言葉を引用し、「考えていることや夢は目に見えないが、一生懸命見よう、聞こうと努力し、本気になって取り組むと見えるようになる」と、目標に向かって歩み続けるよう、新入生を励ますメッセージを語った。
祝辞を述べた同学園理事長の須田洋一氏は、「こうして第1回入学式を行うことができたのも、神の豊かな導きであると感謝する」とし、同校における新入生の歩みについて、「公立の小学校とは異なり、毎日礼拝の時間がある。賛美歌を歌い、聖書を読み、先生の話がある。その先生の話をよく聞いて、よく考えてほしい」と話した。
「第一期生として、勉強やスポーツに力いっぱい頑張り、新しい道を作っていってほしい」と期待を込めて語った。式には、共愛学園高等学校の聖歌隊も参列して美しい歌声を披露。幅広い世代との交流を持つことのできる同校の強みを印象付けた。
入学式が終わると、保護者は佐藤千代美教頭の案内で、2階建ての校舎を見学した。完成したばかりの校舎は、中心部にある吹き抜けのチャペル兼ランチルーム「プレイズホール」が特徴。校舎内は無垢材がふんだんに使われ、木のぬくもりを感じる温かい空間が広がっている。
教室とワークスペースが可動式の間仕切りで仕切られ、目的に合わせて広さを調整できるなど、随所に過ごしやすさの工夫が見られる。また、家庭科室や理科室など、一般の小学校と同じ専用教室に加え、英語教育のための「イングリッシュルーム」が設けられており、同校の教育目標である「英語が話せる子」への力の入れようが伺える。
各学年が2学級編成なので教室は12あるが、編入学は行わないため、全部の教室が使われるようになるのは6年後だ。空いている教室は当面の間、NPO教育支援協会北関東によって運営されるアフタースクールの教室として使用される。さまざまなテーマの遊びや学習を通して、児童が楽しく、安全で安心な学校生活を送れるようサポートする。
新入生男児の保護者の1人は、同校への入学を決めた理由を「昔から共愛学園を近くで見ていたが、キリスト教主義で、心優しい子が育つ学校だと印象が良かった。英語教育によって国際感覚を養う、という教育方針に非常に心引かれた」と話す。
また、実際に入学した心境を「新築の学校に入ることができる機会はないので、こんなぜいたくなことはないと思う。心優しい子になってほしいし、本人も英語だけは頑張ると話しているので、日本だけではなく世界にも目を向けられる子になってほしい」と高まる期待を話してくれた。
同学園は今年、小学校の開校だけでなく、これまであった幼稚園・保育園を幼保連携型の認定子ども園として新しく開園、また留学生を受け入れる国際寮を新しくオープンさせた。小学校の開校により、同学園は認定こども園から大学までを擁する群馬県内で唯一の総合学園となった。