キリスト教支援団体「バーナバス・エイド・インターナショナル」とその上部団体「バーナバス・ファンド」が、最近公開した文書で英国福音同盟(EA)を批判したことについて、EAが反論する声明を発表した。バーナバス・ファンドは文書で、EAが他の支援団体とは協力するが、バーナバス・ファンドを無視しているなどと主張し、EAのジョエル・エドワーズ前総主事が「日曜日の教会の説教壇を、イスラム教の説教者にも開放するべきだと教会を駆り立てた」などと批判していた。
この批判は、コリントの信徒への手紙二4章8節から引用された「四方から苦しめられて」と題した文書の中でなされた。36ページに及ぶこの文書は、バーナバス・ファンドの支援者数千人に送られ、ネット上でも公開されている。バーナバス・ファンドは文書で、EAが世界福音同盟(WEA)に対し、「バーナバス・ファンドとのパートナーシップを終わらせるよう」促したと主張。また、バーナバス・ファンドの理事らが、「EAの現在の指導部が、保守的な福音派の価値観から離れようとしているのを見て非常に悲しんでいる」などと述べている。
バーナバス・ファンドはさらに、「オープン・ドアーズ」や「リリース・インターナショナル」、世界キリスト教連帯(CSW)といった他のキリスト教支援団体についても批判している。
しかし、EAはこれらの批判について、「われわれは、常に世界中の迫害下にある教会を支援することに従事してきました。われわれは、リリース・インターナショナルやCSW、オープン・ドアーズと共に、(EAの)『宗教の自由委員会』の一部を担い、迫害下にあるキリスト教徒の声を代弁し、実際的な支援を提供してくれる加盟団体と協力して働きを行っています」と述べた。
また、今回の文書の中でなされたコメントに対し「あまりに驚き、悲しみを感じている」とし、「間違った情報や混乱を避けるために、(バーナバス・ファンドの)理事たちがまず、彼らが持っている疑念についてわれわれと話し合いを持つことを選ばなかったことは非常に残念です」と述べた。
そして、「われわれは、この二つの団体に対し、誰が、どのような権限で、今回の文書を出したのかを明らかにするとともに、この根拠のないコメントの証拠を求めるためにこの声明を出しました」と述べている。
また、EAが加盟教会に対し、イスラム教徒に説教壇を開放するよう呼び掛けたとする主張について、「われわれは、われわれによってなされたという任意の発言について、いかなるときにおいても認識しておらず、そのように解釈することができるような発言もしておりません」と強く否定して声明は閉じられている。
オープン・ドアーズやリリース・インターナショナル、CSWはこれまでのところ、バーナバス・ファンドの主張に関しコメントはしないとの意向を示している。
文書「四方から苦しめられて」は、バーナバス・ファンドと、その創設者であり、現在さまざまな問題の渦中にあるパトリック・スクデオ氏を擁護する内容で占められている。スクデオ氏は、性的暴行と恫喝(どうかつ)の罪で2015年2月に有罪判決を受けている。
しかし、無実だと主張し続け、バーナバス・エイド・インターナショナルの理事らの決定で、国際ディレクターとして復帰。その後、強制わいせつ容疑で逮捕され、再び辞任するが、今回の文書には、理事らが「スクデオ氏に移行期間、その専門的な立場で助言してくれるよう依頼し、スクデオ氏も快くこれに同意した」とある。
文書はまた、05年の有罪判決について無実だとするスクデオ氏の主張をより明確に強調。スクデオ氏がこの判決を不服として「再び訴訟を起こした」としている。
スクデオ氏とバーナバス・ファンド、バーナバス・エイド・インターナショナルは先月、被害者が労働裁判所に起こした訴訟で和解している。示談金は5万ポンド(約790万円)に上り、さらに数万ポンドの弁護士費用を要したとみられている。