朝日新聞によると、缶詰メーカー「信田(しだ)缶詰」(千葉県銚子市)が、2014年製造の中東向けサバ油漬け缶約300万缶に、原材料表示をせずにサンマを混ぜて出荷していたという。信田缶詰は昨年8月、総合食品卸売会社「マルイチ産商」(長野市)の子会社と成っており、その際実施された内部調査で判明したという。
同紙によると、サンマの混入があったのは、イエメンなどの中東に輸出されている「MADKHANAH(マドカナー)」という缶詰。14年製造の約1600万缶のうち約300万缶で混入があった。魚肉がフレーク状に刻まれた商品であったため、消費者が見た目や味で判断するのは難しいものだったという。
信田缶詰は同紙の取材に対し、「サバが不足した際に、出荷を優先し、代わりの原料としてサンマを利用してしまった」などと説明。既に輸出先企業には謝罪し、クレーム金を支払うなどして和解しており、社内処分も実施したという。
信田缶詰は明治38(1905)年創業の110年以上の歴史がある水産加工会社。マルイチ産商の子会社化時の発表によると、経営難のため10年に民事再生計画の認可を受け、13年までに民事再生手続きにより経営を再建。さらなる経営安定化のため、15年8月にマルイチ産商の子会社となった。国内では、さば水煮缶やさんましょう油味缶、サバカレー缶といった缶詰商品など、水産加工品を販売している。