シャープは26日、台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業がシャープの偶発債務を理由に、最終契約の締結を保留していることについて、「当社の潜在的債務(報道では偶発債務)が3000億円規模とされておりますが、これは当社の発表に基づくものではありません」とする文書を発表した。
シャープは文書で、「鴻海精密工業との間で、当社の潜在的なリスクを含む経営状況に関する確認作業を行うなど最終契約に向けて協議しております」と説明。偶発債務については、「会計基準に基づき、有価証券報告書、四半期報告書等で適切に開示しており、その他に開示が必要と認識しているものはありません」としている。
シャープは25日、臨時取締役会を開き、鴻海精密工業がシャープに4890億円を出資し、株式の66パーセントを保有するとする買収提案を受け入れることを全会一致で決定した。しかし、鴻海精密工業はその数時間後、シャープが24日朝、鴻海精密工業に対し「新しい重要な書類」を送ったとして、書類を精査するため最終契約を保留することを明らかにした。
時事通信によると、その後、米ウォール・ストリート・ジャーナル紙は、関係筋の話として、鴻海精密工業が受け取ったのは、約100項目にわたる総額約3500億円の偶発債務のリストなどと伝えていた。同通信によると、鴻海精密工業は偶発債務のリストを受け取った後、シャープに臨時取締役会を延期するよう申し入れたというが、シャープはこれに応じなかったという。
ロイター通信によると、シャープの高橋興三社長は26日、事態打開に向け、鴻海精密工業の郭台銘(テリー・ゴウ)会長と中国で協議する。