両手、両足は、生まれつきない。しかし、2本の指からなる7インチの「足」を自由自在に操りながら、歯磨き、朝食の準備はお手の物。プールで泳ぐことも、パソコンのタイピングでさえ一人でできてしまう。ニック・ブイチチ(Nick Vujicic)さんは現在24歳。オーストラリアで大学の経済学部を卒業し、現在はアジア、アフリカ、インド、オーストラリア、そしてアメリカと世界中を巡りながら自らの体験を語り、人々に生きる希望と力を与えている。機会があればどこへでもいきたいという。ときには学校で児童たちを前に、またあるときは企業で講演する。そんな彼の力の源はどこにあるのか。またこれほどの逆境をどうやって乗り越えることができたのだろうか。
ブイチチさんはクリスチャンの家庭で育ったが、小さいときに周囲の子どもたちからいじめを受け、自殺したいと思うことさえあった。「神を愛する人々、すなわち、神のご計画に従って召された人々のためには、神がすべてのことを働かせて益としてくださることを、私たちは知っています」(ロマ8:28)と聖書にある。たとえそれがどんなに自分にとっては都合の悪いことと思えても、神が自分の人生に与えるすべての出来事は必ずよい目的を持っていることを知ったとき、心に初めて平安が与えられた。そして「神のわざがこの人に現われるためです」(ヨハネ9:3)との聖句を読んだとき、自分の人生のすべてをキリストにささげようと決意した。
ブイチチさんはこう語る。「私が神の驚くべき力に対する偉大な証しを立てることができれば、神は私を完全に癒してくださる、それを本当に信じています。私は、もし人の願い事が神の御心にかなうならば、それは神の定められたときに実現すると知っています。もし私の願いが神の御心ではなくてかなえられないならば、そのときには、神がそれよりもさらに素晴らしいご計画を私にお持ちだということがわかります」
「他の人では代わりができない、私だけの方法で神が私を用いられるときに、神の栄光が現されることを私は知っています」「私のうちには若者たちに届く情熱があります。神が私に願うどんなことも、神が導くどんなところへでも従う決意があります」
夢は、神の愛と希望を伝える、世界で一番の神の証し人になること。そしてノンクリスチャン、クリスチャンを問わず、人々に生きる力と勇気を与え続ける国際的な講演者になることだ。まずは25歳までにビジネスで経済的な自立を目指すことが目標。今後は本も出版していきたいという。
「不可能はないんだよ」―ブイチチさんはある講演会で、ステージの上で自分が立っていたテーブルを一度降りた後、車椅子をたくみに操りながら見事テーブルの上に一人で登ってみせた。「出来ないと思ったら、出来る方法を見つければいいんだ」
「もしあなたが何かをしたいという願いと情熱を持っていれば、そしてそれが神の御心ならば、あなたは最もよいときにそれを達成できる。自分自身に限界をつくる必要なんて全くない!」
全能の神の力にまで限界があると、人の側で勝手に思い込んではいけない。「神にはどんなことでもできます」(マタイ19:26)「神の働きのために自分が用いられるのであれば、私たちはいったいだれの能力によるのでしょうか。まさしく、神によるのです」
ニック・ブイチチさんのホームページ:http://www.lifewithoutlimbs.org