米南部アーカンソー州ホープにあるビル・クリントン元大統領の生家で25日未明、火災が発生した。家には落書きもあり、警察は放火とみて捜査を進めている。米CNNなどが伝えた。
CNNなどによると、25日午前3時17分、近くを通りがかった車の運転手が火災を発見し通報。火は一時、2・4メートルの高さまで達したが、消防が駆け付け、火はすぐに消し止められたという。火元は家の外壁の下部とみられており、現場からはガソリンのような臭いがしたという。
この家は、クリントン元大統領が4歳の頃まで住んでいた、母バージニア・デル方の祖父母の家。クリントン元大統領が生まれる3カ月前、実父ウィリアム・ジェファーソン・ブライスは交通事故で亡くなっており、クリントン元大統領がホープで生まれたすぐ後、母バージニアは看護師の勉強のためニューオーリンズへと移った。母バージニアが看護師の勉強をしている4年間、クリントン元大統領は、ホープにある祖父母の家で過ごした。その後、母バージニアが自動車販売店を営むロジャー・クリントンと再婚し、同州ホットスプリングへ移り住むことになる。
この家は、2011年には国の史跡にも指定されている。家の管理人が発表した声明によると、新しい告知があるまでは、家は閉鎖される。
CNNによると、落書きは玄関前の歩道やドアに黒のスプレーであり、歩道には笑い声の「haha」を意味する「55」の数字、ドアには「XX」という文字と顔の絵が描かれていたという。
ホープで22年にわたって市長を務めているデニス・ラムゼイ市長は、この家が「米国の小さな町の遺産」だった述べ、「大きな被害になる前に誰かがこの時間に起きていて発見できたことが何よりの幸いだ」と語った。
アーカンソー州のホームページによると、家の内部は、クリントン元大統領が過ごした当時を再現して家具などが配置されていた。クリントン元大統領は7歳の時に、ホットスプリングへ移り住むが、祖父が1956年に亡くなり家が売られるまでは、夏や週末をこの家で過ごし、少年時代のクリントン元大統領の生活の中心の場だったという。