昨年末の大統領選を機に、ケニアではいまも民族衝突による暴動が続いている。1日、住民が避難していたナイロビの北西約300キロにあるエルドレトの教会が放火され、少なくとも35人の女性や子ども達の尊い命が奪われた。これまでの暴動による死者は300人を超える。国連人道問題調整事務所(OCHA)は4日、国内避難民が約25万人に達したと発表した。近隣の国へ避難した住民も合わせると、暴動の影響を受けた住民は40〜50万人いると推定される。
教会の放火では、再選したムワイ・キバキ氏と同じキクユ族から多くの犠牲者が出た。暴徒化した住民は、逃げ出した人々に石を投げつけ、なたで切りつけた。暴動は、落選したライラ・オディンガ氏の支持基盤であるケニア西部や首都の貧困地区などを中心にさらに広がっている。
潘基文(バン・キムン)国連事務総長は4日、キバキ氏、オディンガ氏とそれぞれ電話会談し、事態の沈静化を強く要請した。またノーベル平和賞受賞者であるデズモンド・ツツ元ケープタウン大主教もナイロビ入りし、事態の調整にあたっている。