米南部サウスカロライナ州チャールストン市にある黒人教会で、同教会の牧師を含む黒人の男女9人が殺害された銃乱射事件で、同州の連邦大陪審は22日、人種差別による犯罪やヘイトクライム(憎悪犯罪)に関連した殺人罪など33件の罪状で、白人のディラン・ルーフ容疑者(21)を起訴した。死刑の可能性もあるという。ロイター通信などが伝えた。
ルーフ容疑者は、既に州法により殺人罪で起訴されているが、州法にはヘイトクライムの規定がないため、連邦捜査局(FBI)などが捜査に当たっていた。起訴状によると、ルーフ容疑者は、黒人奴隷解放運動の一端を担った同教会で、初めから黒人を選び犯行に及んだとされている。
記者会見に臨んだロレッタ・リンチ司法長官も、ルーフ容疑者が数カ月前から犯行を計画していたことを明らかにした。さらに犯行の動機について、「全米で人種間の緊張を高めることなどを目的に黒人の殺害を決意し、この地域の黒人の人たちにとって歴史的に重要な教会を狙って犯行に及んだ」(NHK)と述べた。
事件は6月17日、米南部で最も歴史のある黒人教会の一つエマニュエル・アフリカン・メソジスト監督教会で発生した。当時、同教会では聖書研究会が行われており、ルーフ容疑者もこれに参加していた。事件発生後、チャールストン市長をはじめ、バラク・オバマ大統領らが事件を非難し、世界メソジスト教会協議会(WMC)などキリスト教諸団体からも次々に非難する声明が出された。
また、ルーフ容疑者が「奴隷制の象徴」ともされる南北戦争時の南軍旗と共に写る写真を撮っていたことが分かり、南軍旗をめぐる論争が激化。同州下院では今月初め、議会議事堂脇に掲揚していた南軍旗を撤去する法案が可決されている。