米テキサス州ダラス近郊で開かれていた、イスラム教の預言者ムハンマドの風刺画コンテスト会場付近で3日発生した発砲事件について、過激派組織「イスラム国」(IS)が5日、運営するラジオ局を通して犯行声明を出した。ISが米国内での攻撃について犯行声明を出すのは今回が初めて。しかし、ISがこの事件に直接関与したかどうかは捜査中で、米政府はISによる襲撃だと断定するのは時期尚早だとしている。AFP通信などが伝えた。
事件は3日夕方、ダラス近郊ガーランド市にある屋内アリーナ施設の駐車場で発生。車で乗り付けた男2人が警備員に発砲したため、警察が2人を射殺した。施設では、反イスラム団体の米国自由防衛構想(AFDI)が主催する「ムハンマド絵画展・コンテスト」が行われており、スピーカーにはオランダの極右政治家で、イスラム過激派の暗殺者リストにも挙げられているヘルト・ウィルダース氏がいた。
ISは5日、運営するラジオ局「アルバヤン」で、ISの2人の兵士がテキサス州の絵画展を攻撃したなどと伝え、さらなる攻撃も警告した。
一方、AFP通信によると、ジョシュ・アーネスト米大統領報道官は記者団に対し、米連邦捜査局(FBI)など関係当局が捜査中で、事件に対するISの関与を断定するのは時期尚早だと述べた。また、米ウォール・ストリート・ジャーナル紙は、これまでのところ容疑者2人とISが直接連絡を取っていた証拠は見つかっていないと伝えている。
発砲したのはエルトン・シンプソン(30)、ナディル・スーフィ(34)両容疑者。シンプソン容疑者は2006年からテロ捜査の対象となっており、事件前にはツイッターでISに共鳴する内容の書き込みをしていた。一方、スーフィ容疑者はこれまで犯罪歴はないという。
ISはこれまでも、01年の米同時多発テロ事件(9・11)の再来を予告するなど、米国への攻撃を示唆してきた。
一方、4月にアフガニスタンで発生した35人余りが死亡した自爆テロについては、当初は同国におけるISの初めての犯行とみられていたが、後にISが関与を否定する声明を発表した。