2月末までに、過激派組織「イスラム国」(IS)によって拘束されたアッシリア人キリスト教徒の数は262人に上った。同25日夜以来、ISはシリア北東部の11の村を制圧した。
アッシリア人権ネットワークの創設者オサマ・エドワード氏は、3日間で11の村が襲撃されたと伝えた。 「『イスラム国』はアッシリアの街をどんどん制圧しています」とエドワード氏は嘆く。
人質の数は当初の70〜100人から150人に増加、さらにアッシリア人権ネットワークの調査によると男女、子ども合わせて262人にまで増加した。英ロンドンに拠点を置くシリア人権監視団は、同26日の声明の中で220人が行方不明になっていると明らかにしている。
標的となった村は、シリア北東ハサカ県のタルタメル地域にあり、シリア人権監視団によると、人質たちはタルタメル地域南西部のアブデルアジズ山付近へ連行されたとみられている。
数百人が拘束されたことに加え、数千人が家を捨てて逃亡することを強いられている。エドワード氏は、村人たちはシリア内戦に伴い、水、衣服、食料などの生活必需品が欠乏した状態にあったという。
米カリフォルニア州に住むモデストさん夫妻には、タルタメル地域に住む親族がおり、うち12人がISに拉致された恐れがある。
「私たちは祈っています。いつも祈っています」と、シャーレット・モデストさん、ロメル・モデストさん夫妻は地元テレビ局KCRAの取材に対し語った。
「私たちが聞いた話では、街では黒い服に身を包んだ一群が海のように村々を行き交い、教会を焼き払い、十字架を汚し、破壊の限りを尽くしています。皆が無事であることを願うばかりです」とシャーレットさんは語った。
イスラム教スンニ派の過激派とされるISは、ここ4年間、イラクとシリアにおいてキリスト教徒とイスラム教シーア派の信者を迫害し、強姦や殺害を行い、その数は増加している。キリスト教会とシーア派の礼拝所は爆撃を受け、数百万人を超えるイラク人とシリア人が、はびこる暴力から逃れるためにその地域を離れていると伝えられている。