南太平洋のフィジー最大のプロテスタント教会であるフィジー・メソジスト教会は2日、南太平洋諸国の伝統的な儀式でよく飲まれるカバ(カヴァ・kava)の消費について、自制を実践する必要性を思い起こしたと、フェイスブックで発表した。
フィジー政府観光局によると、カバは南太平洋帯に生えるコショウ科の木で、カバの儀式では、この木の根を乾燥させ、タノアという木製の大きな器に竹筒から水を注ぎ、その中でカバの根をぬらし、汁を絞り出すという。粉末の場合は、注いだ水で溶かし、汁はほとんど泥水と同じような色をしている。次に、ココナッツの殻でつくった受け皿(杯)に、タノアからカバの汁を汲み取り、飲むという。
同局によると、カバの儀式の進め方は、通常3人がホスト役となり、1人はカバの汁を作る役、もう1人はココナッツの殻に汁をくみ取り、お客まで運ぶ役、そして最後の1人は、お目付け役。まずお目付け役が儀式の始まりを宣言する祈りをあげ、その後タノアに水が注がれ、カバ汁を作り始めるという。
国連薬物犯罪事務所(UNODC)によると、カバにはアルコールは含まれていないという。しかし、夜通し行われる儀式でカバを飲み過ぎると、二日酔いに似た状態になることもあるといわれている。
毎週放送されているラジオ番組で、フィジー・メソジスト教会総幹事のエピネリ・バカデワボサ牧師・博士は、日曜日の1日夜、とりわけカバの消費で自制の必要性を強調した。
「2014年の年次総会では、カバの儀式は午後10時半までに終えるべきであると決定した。さらに、カバを消費してよいのは日曜日だけで、それも教会でその日に行われる最後の礼拝の後だ」と、バカデワボサ総幹事は語った。
同教会のウェブサイトにある2014年8月に行われた同総会の決議集には、「カバが認められるのは日曜日の礼拝の後だけとする」と記されている。
教会広報・海外宣教担当幹事のジェームズ・ブハグワン牧師は、この決議の背景について、同総会が終了した8月29日の翌日、フィジーの主要紙であるフィジー・タイムズの記事の中で、カバの消費の乱用について同教会内からさまざまな報告が入ってきていたのを受けたものだと説明していた。
ブハグワン牧師によると、同教会では、バカデワボサ総幹事が出演したこのラジオ番組を録音しており、自制を呼び掛けるこのメッセージをなるべく幅広い聴衆に伝えるため、ポッドキャストや同教会のウェブサイトで伝えるという。ただ、「私たちが気がかりなのは、とりわけ電気や連絡が限られている田舎の地域にいる教会員のことだ」と、同牧師は話している。
なお、2014年の総会決議集によると、フィジー・メソジスト教会の会員数は19万8777人で、前年よりも1788人減った。一方、フィジー政府統計局によると、2007年の人口調査では同国の人口が83万7271人となっており、同教会の会員数はその約4分の1を占めていることになる。