オランダに本社を置く人文・社会・自然科学の専門書出版社であるブリル(Brill)社が、3月に英語の専門書である『Critical Readings on Christianity in Japan(日本のキリスト教に関する批判的文選集)』(全4巻)を出版する予定だ。
編集者は、四国学院大学、明治学院大学、上智大学の教授を務め、『メイド・イン・ジャパンのキリスト教 』(トランスビュー、2005年)などの著者として知られるマーク・R・マリンズ教授。現在は、ニュージーランドのオークランド大学で日本研究を教えながら、日本研究センター所長を務めている宗教社会学者で、2003年にブリル社から出版された『Handbook of Christianity in Japan(日本のキリスト教ハンドブック)』で編集者を務めた。
ブリル社の公式サイトでは、この本の定価は780ユーロ、1068米ドルだが、アマゾンジャパンでは日本円による価格がまだ明記されていない。仮に13日現在の為替レート(1ユーロ=約136円、1ドル=約120円)で換算した場合、日本円で10万円を超えると予想される。一方、アマゾンジャパンと米アマゾンでは、昨年11月15日にハードカバーで出版予定と記されているが、実際は現時点でも未刊となっており、米アマゾンでの価格は1014ドル60セントとなっている。
同社によると、この本は「日本の宗教の世界に比較的後からやって来たものの、歴史や文化形成、そして社会的影響に関する学識の学際的な集成である」という。また、「選ばれた諸研究は歴史的に編纂され、5世紀の過程にわたってこの少数派の宗教が担った特定の課題や役割を分析し、16世紀におけるローマ・カトリック教会の宣教活動をその初めとする」としている。
さらに、「この文選集はキリスト教の多様な組織形態を批判的に検証し、西洋から移植されたミッション系諸教会、土着的運動、そしてカリスマ派運動や世界のキリスト教の非西洋的な中心地から来た諸教会がこれに含まれる」「とりわけ関心が向けられているのが、社会変革と政治的関与における日本人の行為者たちの役割と、儀式や神学、および文学を通じたキリスト教の新たな表現だ」としている。
読者層について、同社は「この文選集は図書館にとって便利な資料となるであろうし、日本の宗教と社会、そして世界のキリスト教史について学ぶ学生や学者たちにとってとりわけ興味深いものとなるだろう」と説明している。
13日現在、この本の目次はまだ明らかにされていない。