『どんなことにもくよくよするな!』(イーグレープ出版)の著者、佐々木満男弁護士のコラムを連載します。ラジオ大阪で現在放送中の人気番組「ささきみつおのドント・ウォリー!」(放送時間:毎週土曜日朝11:45〜、インターネットhttp://vip-hour.jp/で24時間無料配信中)でこれまでに放送された内容を振り返ります。「ミスター・ドント・ウォリー」こと佐々木弁護士が、ユニークな視点から人生のさまざまな問題解決のヒントを語ります。(Amazon:どんなことにもくよくよするな!)
あることから、人に嫌みを言われたり、きつく非難されたりして心が傷付いたことはありませんか。ありますよね。私なんかしょっ中ですよ。弁護士として紛争事件を受けもったら、その時から相手側とけんかです。「こちら側が正しい」と言い放って「相手側が間違っている」とお互いに主張しつづけるわけですから大変です。どんな非難や中傷にもびくともしない「鋼鉄のような堅い心」を持たないと、とてもやっていけません。
弁護士はあくまでも代理人ですから、相手から非難されても人ごとで済みますが、当の本人は心に直接大きな傷を受けてしまいます。そんな傷の根を心に持ったまま生活しているといやですよね。相手の言った悪口を思い出しては、不愉快な気持ちになってしまいます。相手を何倍も非難しなければそのいやな気持ちは収まりません。にがい思いが深く根をおろしてしまうと、なかなか消えません。消えないどころか、ますます根を広げて大きくなっていきます。
そんな時、あなたはどうしますか。にがい思いにふける度に心の中で相手を非難して、自分を正当化しようとしますか。心で非難するだけでは足りず、自分の知り合いに相手のことを悪く言って、うさを晴らそうとしますか。それでも足りなくて、相手を攻撃するメールを送ったり、電話したりしますか。相手と一切の連絡を断ち、絶交してしまいますか。多少はうっぷんが晴れてくるでしょうが、そういうことでにがい思いの根はなかなか抜けないものではないでしょうか。
「私の心は不死身だ。私の心はどんなことがあっても傷つくことはない」。
人からいやなことを言われたり、非難された時は、私は心の中で自分にこう言い聞かせることにしています。そうすると不思議に、いやな思いを根に持たないのですね。人の非難は、右の耳に入っても左の耳から抜けてしまいます。「よくこんなにひどいことを私に言えるな。でも言わないと気が済まないんだろうな。そのうち言い疲れて治まるだろう」。なんて思いながら、非難されている最中に何か楽しいことを考えていたりします。相手は言いたいだけ言ったら気が済みます。こちらも、「ああ、ようやく終わった。よかった、よかった」とホッとします。
そうすると、いやな思いがなくなります。こちらが根に持たなければすぐ忘れてしまいますから、次に相手に会った時も笑顔で接することができます。相手の人は、「この前、あんなに悪く言ったのに気にも止めていない。この人にいくら言ってもだめだ」と諦めるか、「この人は自分よりも大らかで立派な人だ」と尊敬してくれるのではないでしょうか。
ですから、どんないやなことを言われても、それを「根に持たない」ことですね。
佐々木満男(ささき・みつお):国際弁護士。宇宙開発、M&A、特許紛争、独禁法事件などなどさまざまな国際的ビジネスにかかわる法律問題に取り組む。また、顧問会社・顧問団体の役員を兼任する。東京大学法学部卒、モナシュ大学法科大学院卒、法学修士(LL.M)。