「岐阜市と瑞穂市に輝く、地域に根ざした300人教会」。そんなビジョンを掲げて歩む同盟福音基督教会・岐阜キリスト教会(川村真示牧師)が、そのイメージを具体化してもっと皆で共有したいと願い、同じ地域性・ビジョンを持ち、更なるステップを進んでいる他教会から様々なことを学ぼうと、研修の旅「ビジョントリップ2007」を企画した。6〜8日までの3日間、岡山県の日本同盟基督教団西大寺キリスト教会(赤江弘之牧師)を訪れ、数日間、同教会の信徒らと交流を持ち、教会成長には「信徒教育」が必須であり、地域に根ざすとは一人ひとりがキリスト教世界観に根ざすということであると、ビジョンの明確化につながった。
「きっかけは昨年の主任牧師の交代を受けて、教会が一つにまとまるために、もう一度ビジョンを皆で共有しようということからでした」と、川村氏は研修旅行を始めようとしたきっかけを話す。
神学生時代に日本同盟基督教団の教会で奉仕をしたことがある経験と、近親者が西大寺教会につながりを持っていたということから、3つの県を越えて約350キロ先にある、1000人礼拝のビジョンを掲げる西大寺キリスト教会に思い切って研修の申し出をした。
研修に赴いたのは教会員の大人14人と子ども5人。突然の申し出、さらに他教団からの申し出であるにも関わらず、西大寺教会が研修を快く引き受けてくれたことに、「自分たちの教会だけを大きくしようということではなく、キリスト教全体の成長を考えておられる大きさを感じました」と川村氏は感謝の思いを語った。
実際に西大寺教会へ行ってみると、「教会教育」と「社会貢献」の充実ぶりに驚いたという。「執事や長老の方々との懇談会で、信徒の方々がすごく成熟していると感じました。自分の考えではなく、聖書に根付いた意見を重要視し、大きなビジョンをもってやっていると感じました」と川村氏。
岐阜教会から参加した役員の1人は、西大寺教会の信徒ら一人ひとりが熱心に聖書を学び、献身している姿を見て「先生、私たち信徒に大きな意識改革が必要ですね」とショックを受けたという。
川村氏は、西大寺教会の主任牧師である赤江氏から、「地域に根ざすということは、地域のニーズをつかむことから始まります。人々が求めていることを知って、自分たちにはあれもこれも足りない、だからできないというのではなく、いまの自分たちに何が出来るのかを考えていくことが大事だ」と伝えられたという。
「地域の方々に、この町に西大寺教会があってよかったねといわれる、そのような教会をめざしたい」という西大寺教会が運営する「幼稚園」「チャーチスクール」「老人デイケア」などの取り組みも、初めは「あれも無い、これも無い」と話していたが、ある牧師から「何をいっているのか、全部ある。無いのは信仰じゃないか」という言葉をいただき進めていくことができたと、赤江氏の実体験からくるアドバイスに、川村氏は「信仰をもって漕ぎ出していくことが大事だと感じました」と感慨深げに語った。
川村氏は、懇談会に集まった西大寺教会の信徒ら全員に聞いた質問、「ビジョンを共有していくにはどうすればいいのか」の答えに対して、日ごろから聖書に基づく本質的な議論を交わして、霊的な回答を得て、御言葉の土台の上に立ってきた、という皆に共通していた答えから、中心に聖書の学びがあるからこそ共有できる思いなのだと実感したと語る。
日程を終えて川村氏は「地域に根ざす300人教会と言っていましたが、具体的な形でイメージが出来ていませんでした。しかし、今回の研修を通して、『地域社会』に仕えるということが漠然としたことではなく、『人』に仕えていくことだと分かりました」と語った。
「地域に根ざす300人教会」というビジョンに、はっきりとした道筋を示すきっかけとなった今回の「ビジョントリップ」。「信徒教育」によって「信仰」や「キリスト教世界観」といった根っこの部分がしっかりしているからこそ、「社会貢献」「地域との連携」といった枝を広げていけるのだと、川村氏はまとめた。