【CJC=東京】 英国では、カトリックや英国国教会の聖職者らは常時白いカラーを着用している人が多いが、それを目当てに襲われることに配慮して、「非番」で外出する時には外す方が良いと、教会の保安対策グループ「ナショナル・チャーチウォッチ」のニック・トルソン代表が7日提言した。
「犬の首輪」などとも呼ばれているカラーは司祭であることの証明のようなものではあるが、司祭にはお金があるとも思われるのか、犯罪の誘発につながるのだとだという。
聖職者に対する暴力を定期的に調査した情報があるわけではない。しかし、ロンドン大学が01年に行った調査によると、97〜99年の間に実に7割の司祭が暴力を受けた経験があると答え、強盗に襲われたと答える人は1割を越えたという。
司祭を襲うのは教区の住民がほとんどということだが、見知らぬ人の場合もあり、それなら司祭であることをいつも示す必要はないというのが提案の根拠だ。聖職者を昔のように尊敬することがなくなり、それが教会出席の減少にもつながっていることをトルソン氏は懸念している。< /p>
英国国教会は提言を歓迎するとはしたものの、「聖職者は聖職者として装うべき」と規則で定めているとして、「自分の使命を公に示すしるしを外すことには気が進まない人も多いだろう。自らが属す共同体の中で存在を明らかにして人々と馴染もうとする気持ちと、安全と個人的な時間を守ろうとすることを、どうバランスをとるかで教区司祭が悩むことになるだろう」としている。
一方、ロンドンの有名なセントポール大聖堂のデービッド・ホウルディング司祭は「デーリー・テレグラフ」紙で、提言を「愚かで、格好付けた考え」と退け、「私は夜、通りを歩いている時、『犬の首輪』を付けている方が、はるかに安全だと思うし、敬意を持たれていると感じる。毎日ほとんど付けているが、それは私のユニフォームだからだ」と述べている。