日本が10月1日に国際刑事裁判所(ICC)の正式な加入国となるのに合わせて、ICCが02年にオランダで設立されるきっかけとなった国連の旧ユーゴ国際刑事法廷(ICTY)で検事を務める女性の姿を描いたドキュメンタリー映画「カルラのリスト」(公式サイト:http://www.uplink.co.jp/carla/)が11月10日から、東京都写真美術館ホールで緊急公開される。人権団体アムネスティ・インターナショナル日本が協力する。
ICCは、個人の国際犯罪を裁く常設の国際司法機関。ジェノサイドや戦争犯罪、人道に対する犯罪への免責を絶つ独立の国際的な裁判所設立を呼びかけていたアムネスティは、ICC設立に向けた提言や、設立後は世界各国で加入に向けたキャンペーンを行ってきた。日本では、今年4月に国際刑事裁判所設置規程(ローマ規程)および、国際刑事裁判所(ICC)に対する協力等に関する法律案が参議院本会議で可決・承認され、日本のICC加入が決定した。
ICTYで検察官を務めるカルラ・デル・ポンテは、01年に旧ユーゴのミロシェビチ大統領を起訴して以来、今もなお、逃走を続ける戦争犯罪人を追跡している。映画では、国際社会の中で戦争犯罪を裁き、正義をなすことがいかに困難なことなのかを克明に描き出している。
アムネスティの広報担当者は、「世界中で未だなくなることのないジェノサイドや戦争犯罪に対し、日本や私たちができることを考える機会になれば」と話している。