米サドルバック教会のリック・ウォレン牧師は、旧約聖書に登場するイスラエルの王ダビデをモチーフにしたテレビゲームの製作資金を集めているルーベン・ミューレンバーグさんとエフライム・ミューレンバーグさんを応援している。2人は双子の兄弟で、「トルネード・ツインズ(竜巻兄弟)」という呼び名でも知られ、共にメディア・アーティスト兼プログラマーである。ウォレン牧師はミューレンバーグ兄弟によるこのプロジェクトについて、「『ザ・ゲーム・バイブル』は、聖書の物語を体験することのできる素晴らしい方法であり、家族にもゲーム愛好家にもゲームの変革をもたらすでしょう」と語っている。
聖書に基づいたテレビゲームシリーズ「ザ・ゲーム・バイブル」については、ウォレン牧師が主宰するウェブサイト「Pastors.com」でも紹介されている。
このゲームシリーズの製作資金を調達するため、ミューレンバーグ兄弟は、米募金サイト「キックスターター(Kickstarter)」でキャンペーンを開始した。最終的にこのシリーズでは、プレイヤーが聖書全体を通して自分のやり方でゲームを進めていくことができるが、今回兄弟はシリーズの最初のゲームとなる「ダビデ:王の台頭」の製作に力を注いでいる。
このプロジェクトを進めるため、ミューレンバーグ兄弟は、米国とヨーロッパで、教会の礼拝に定期的に通う人たちと交わした会話に基づき、5つのシンプルなゴールを設定している。
キックスターターに掲載された紹介ビデオで、エフライムさんは、最初のゴールとして、生々しく血が出てきたりはしないが、男の子たちを夢中には十分な緊張感を持ち合わせたゲームにすることを挙げた。また、ルーベンさんは、第2のゴールとして、聖書に忠実でありながら、かつ高いエンターテイメント性を持ち、聖書の話が省略されていたり、追加されていたりしないことを挙げた。3つ目のゴールは幅広い年齢層で楽しめること、4つ目は高いクオリティーを持っていること、5つ目はプレイヤーが夕食や宿題などのためにゲームの途中でも簡単に中断することができる一時停止機能を設けること、だという。
しかしながら何といっても、これら5つのゴールに加え、ゲームの製作費は彼らにとって最も重要な課題だ。ルーベンさんは、潜在的なプレイヤーは「安っぽく古臭いキリスト教のゲームを望んでいないことを、私たちにただちに警告するはずです。彼らは最高の業界水準を求めているのです」と語る。
米クリスチャンポスト紙は2012年の記事で、キリスト教のテレビゲーム開発者が直面するいくつかの課題について取り上げた。記事では、ゲーム会社「Hexify」のCEOであるブレント・ダシング氏が、「キリスト教のテレビゲームとその成功を理解するにあたって、キリスト教のゲームは家庭用ゲーム機(任天堂、プレイステーションなど)では成功してこなかったということに留意することが重要である」と述べている。
ダシング氏はまた「これは大事なことです。なぜなら家庭用ゲーム機市場は、アクション指向(撃墜、レース、格闘系)の人々をターゲットにしています。熱心なゲーム愛好家の人たちが求めるものの多くは、キリスト教のジャンルでは満たされないのです」と続けた。
ミューレンバーグ兄弟は、この課題について熟知している。彼らは将来的には、持ち運び可能なデバイスやタブレット、家庭用ゲーム機に至るまで事業を拡大したいと願っているものの、現時点ではパソコン用のゲームのみに範囲を絞っている。彼らはまた、アサシンクリード、スターウォーズ、レゴシリーズなどの人気ゲームを手掛けてきたフリーランサーやコンサルタントと協力し、3次元の映像を駆使してゲームを作っている。「ゲーム画面の前景と背景で起こっていることが、見逃せないほどゲームのプレイに影響を与える」という。
これまでのところ、目標の製作資金3万5千ドル(約380万円)のうち約3万2千ドル(約345万円)を調達した。3万5千ドルで、「ダビデ:王の台頭」の最初の3つのエピソードを12月までに製作することができるという。さらに、最終的にこの3万5千ドルの11倍にあたる38万ドル(約4120万円)の資金が集まれば、「ダビデ:王の台頭」の全10エピソードを製作するのに十分だという。資金募集の締め切りまであと20日少し。詳細はこちらでチェックすることができる。