【CJC=東京】米放送伝道の先駆者で最初の「テレバンジェリスト(テレビ伝道者)」として知られるレックス・ハンバード氏が9月21日、老衰で死去した。88歳。週刊誌『USニュース・アンド・ワールド・リポート』は「アメリカの世紀を作り上げたトップ25人の1人」にあげている。
1919年8月13日、アーカンソー州リトルロック生まれ。牧師の家庭で育ち、『ハンバード・ファミリー・シンガーズ』のメンバーだった。49年に、CBS系列局から放送伝道を開始、世界の注目を集めた。
週刊誌『タイム』は99年に「今日、レックス・ハンバードは、全世界に福音を説くことでは、歴史上の誰よりも身近に来た」と評価している。
52年、オハイオ州アクロンで主宰している『カテドラル・オブ・トゥモロー』(座席数5400)教会の礼拝を、毎週放送した。その後約30年間、北米360局、世界各地では91言語に訳され2000局以上から放送され、受信者は数百万人に上ったと見られる。
ゴスペルミュージックの中のベストを取り入れ、やさしい説き方で信者と非信者双方に訴えることで、文化や思想を超越していた。76年には毎日曜日の視聴者は平均800万人に上り、特別番組「愛されている」は3000万人が視聴したという。
熱心な視聴者の1人が、「彼の説教者」を見るために、日曜日朝にはホテルの客室でテレビと向かい合っていた歌手エルヴィス・プレスリー、と関係者が明らかにしている。エルビス死去の際、父親バーノン・プレスリー氏は、葬儀の司式をハンバード氏に頼んだ。
ニューヨークのマジソンスクエア・ガーデンやカーネギー・ホール、東京武道館、シドニー・オペラ・ハウスで行われた伝道集会はいずれも満員になった。79年にブラジル伝道を行った際には全土で120万人を集め、リオデジャネイロの世界最大のスタジアムでの集会には18万人が詰め掛けたという。アフリカ各地にも伝道し数十万人に福音を伝えた。
早くから、ラジオとテレビ着目、神の愛のメッセージ伝達に活用した。アーカンソー州ホットスプリングズのKTHSラジオ局で13歳の時に、ゴスペルを歌い、聴取者を彼の父の教会に招いている。40年代の初めに、毎日のラジオ番組を全米に向け開始した。
伝道番組の常連として登場したミュージシャンにはマヘリア・ジャクソン、ビル・ゲイザー、アンドレ・クラウチ、パットとデビー・ブーン、ロイ・ロジャースとデール・エバン、ジョニー・アンド・ジューン・キャッシュ、ブラックウッド・ブラザース、ステイツメン・カルテット、ザ・カテドラルズなどが名を連ねている。