【CJC=東京】ブラジルのリオデジャネイロで15日夜、オラニ・テンペスタ大司教(枢機卿)が、車で移動中に強盗団に襲われた。大司教は、カトリック系ラジオ局「ラジオ・カテドラル」に向かうため大司教邸を出た直後、車に乗った3人組が拳銃を構えて取り囲んだという。しかし大司教だったことに気付いたため「ゆるしてくれ」と前置きした後で金品を渡すよう要求した。
枢機卿と同乗していたカトリック系新聞のカメラマンの話では、強盗の男は枢機卿の頭にいったんピストルを突きつけたが、教会関係者だと分かると、「おゆるしを」と謝罪し、枢機卿は「わが息子よ、あなたをゆるす」と応じたという。
犯人らは大司教の指輪、十字架、携帯電話、ペンのほか、同乗していたカメラマンと神学生からもそれぞれカメラと祭服を奪って逃走した。一行にけがはなく、大司教はラジオ番組で予定通りのスケジュールをこなした。
警察は「車を奪う目的だったが、教会関係者と知っておじけづいた」と見ている。
邦字紙「サンパウロ新聞」によると、容疑者らは後悔したのか現場の数キロ先に強奪品をすべて置き去りにしていた。知らせを受けた警察によって奪われた所持品は返却された。