日本ホーリネス教団は、7月に集団的自衛権の行使容認が閣議決定されたことを受け、今月15日付けで抗議声明を発表した。安倍晋三首相に宛てた声明では、「この閣議決定は、立憲主義に著しく反するものであり、容認することはできません」などとし、閣議決定に抗議するとともに、その撤回を求めた。
声明では、首相と閣僚は「この憲法を尊重し擁護する義務を負ふ」(憲法99条)とされており、「長く積み重ねられてきた憲法 9 条の解釈を強引に変え、憲法の基本理念である平和主義を変質させることは、許されないことです」とした。
また、「近隣諸国を敵視するような言動をしつつ、それを積極的平和主義と称するのは、詭弁でしかありません」と言い、今回の閣議決定は「国民を愚弄するもの」「平和に資することのない愚かなもの」と指摘。「武力を紛争解決の手段とせず、憲法 9 条によって培ってきた日本の平和ブランドという国際社会における信頼と評価のイメージを傷つけることは、日本国民に何ら益するものではありません」とした。
声明は、同教団委員会の中西雅裕委員長名で出された。
集団的自衛権の行使容認を巡っては、同教団以外にも、日本カトリック司教協議会常任司教委員会や日本キリスト教協議会(NCC)靖国神社問題委員会、日本同盟日本同盟基督教団「教会と国家」委員会、日本バプテスト連盟理事会、日本聖公会などが抗議声明を発表している。
また、世界教会協議会(WCC)は7月、声明「日本国憲法第9条の再解釈について」を発表。日本国憲法が長年にわたり、世界中から「平和憲法」としてたたえられてきたと指摘し、安倍政権がその解釈変更を決めたことについて、「多くの世界諸国にとって模範であり続けた平和の遺産に反する」「国際的に深刻な結果もたらす」などとして、「重大な懸念」を表明した。一方で、「日本が、同盟国や敵対国からの圧力に屈するのではなく、北東アジアの安定のために指導性を発揮すること」を求めた。
WCCのチャン・サン議長は今月初めに来日し、憲法9条の再解釈に関する声明と、核のない世界を訴える声明の2つを携え、首相官邸で菅義偉官房長官と面会。両声明の趣旨を説明した。