米国務省は14日、「世界各国の宗教の自由に関する2007年版年次報告書」を発表し、北朝鮮や中国など8ヶ国を「特に懸念される国」に指定した。北朝鮮については、報告書を担当したハンフォード大使が「信教の自由を最も侵害している国」と非難。北京五輪を来年に控えた中国に対しては、宣教師ら100人以上を追放したという情報があると指摘した。
指定されたのは、北朝鮮、中国、ミャンマー、イラン、ウズベキスタン、サウジアラビア、スーダン、エリトリアの8ヶ国。ミャンマーに関しては、「軍事政権が宗教活動を抑圧し、しばしば宗教の自由の権利を迫害している」と批判。イランについては、「宗教の自由の尊重について、極めて劣悪な状態がさらに悪化し続けている」とした。
北朝鮮については、「金正日総書記、父親の故金日成主席の個人崇拝が、政治体制の重要なイデオロギーとなっている」とし、「憲法上は宗教の自由が認められているが、本当の意味での自由はない」と批判した。一方、中国に対しては、同政府が今年春から教会活動の締め出しをしている、これまでに外国人宣教師ら100人以上を追放したとの情報があると指摘した。ハンフォード大使は、北京五輪を前にした様々な抗議行動を封じる狙いがあるとの見方が強いと述べた。
91年のソ連崩壊による独立以来、イスラム・カリモフ大統領の独裁が続くウズベキスタンに対しては、多くの宗教団体が法的地位を得ることが不可能であるとし、宗教指導者の逮捕があることを批判した。
06年の同報告書でリストに指定された国は、今年指定された8ヶ国の内ウズベキスタンを除いた7ヶ国とベトナムを合わせた8ヶ国。ベトナムについては、06年の報告書発表時に信教の自由促進に向けた改善が見られるとの評価を受け、「改善が続けば、リストから除外することが可能」とされていた。
同報告書のリストに指定されると、経済制裁などを科す際の根拠の一つとして扱われる。