五島列島久賀島(ひさかじま)に点在する230基のキリシタン墓碑。1873年、禁教令解除と共に現れた十字架の墓碑は、恐ろしい弾圧の中、信仰を貫き、神と共に生きたクリスチャンの姿を伝える。
07年9月10日に全国出版された「復活の島」(長崎文献社)は、1613年の「キリシタン禁令」「宣教師の国外追放令」発布から長く続いた厳しい弾圧を乗り越え、万感の思いで建てられたクリスチャンの墓碑を、その形態や大きさ、銘文や被葬者名などから、当時の時代背景を記録した。
調査にあたったのは長崎県文化振興課の大石一久(おおいし・かずひさ)さんと、県内外から近代キリスト教の研究や調査を行う教授や講師たち。企画協力にはカクレキリシタン研究の第一人者である宮崎賢太郎さん(純心大学教授)、ロビンソンクルーソー島の調査で世界に認められる高橋大輔さん(探検家・作家)など充実したメンバーが揃った。
久賀島の風土と共に、島民たちの姿ににじむ、苦境を乗り越えてきたキリシタンの歴史を綴(つづ)る本書は、八ヶ所のキリスト教墓地を巡り、一つひとつの墓碑を大切に記録し、島に連綿と続く風習と文化を伝える。
長崎港から西へおよそ100キロ。東シナ海上にある五島列島は「キリシタンの里」と呼ばれ、現在、約140ある列島全体の人口約7万人のうち15%がカトリック信者であると言われる。五島列島全体には50の教会があり、いまもなおイエス・キリストの御姿を伝え、地域住民の信仰と祈りを支えている。
B5判、172ページ。1890円(税込)。主要書店で販売されている。問い合わせは長崎文献社(095・823・5247)へ。