インドネシア・スマトラ島南部ブルンク沖のインド洋で12日午後6時10分(日本時間同8時10分)ごろ、マグニチュード(M)8.4の強い地震が発生した。時事通信は政府社会省担当者の話として、13日午前までに9人の死亡が確認されたと報じている。また、AP通信によると、負傷者は100人以上と言う。04年に発生したスマトラ島沖地震では、M9.3と1900年以降に発生した地震で2番目に大きな規模で、地震によって発生した巨大な津波によって22万6千人以上の死者が出た。住民は、再び津波が発生するのではないかと恐怖におびえている。
インドネシアでワールド・ビジョンのコミュニケーションマネージャーを務めるヘンドゥロ・スウィトウ氏は、「(ジャカルタでは)津波をもたらした04年発生の巨大地震が再び起こるのではないかと恐れて、人々が高層ビルなどから通りに向かって殺到しました」と地震発生時の様子を語る。地元は停電状態で、通信もほぼ不通。住民は高台に避難するなど、パニック状態に陥った。
これを受けて、ワールド・ビジョンやカトリック救済サービス(CRS)などのキリスト教NGO団体は、震災の被害を受けた人々への対応を準備している。ワールド・ビジョン・インドネシアのディレクターを務めるトゥリハディ・サプトーディ氏、ワールド・ビジョンの人道的緊急支援マネージャーであるジミー・ナダフダフ氏は、早急な対応が必要かどうかの調査に乗り出している。一方、インドネシアで50年に渡って活動を続けているCRSは、地元の協力者やコミュニティーと連携して対応するとしている。
米地質調査所によると、震源地はブンクルの南西約130キロ沖で、震源の深さは約30キロ。これまでに、300棟以上の建物で被害が出ており、住民500人以上が避難している。また、13日午前6時49分にはM7.7、同10時35分にはM6.5などの大きな揺れを伴う余震が続いている。スマトラ島西岸のパダンで約1メートルの津波が観測されているが、これまでのところ津波による被害は報告されていない。