ルーテル学院大学は最近、調布市と相互友好協力協定を締結した。大学の所在地・三鷹市と隣接する調布市とは、同大の和田敏明教授が市地域福祉推進会議会長を務めたり、市川一宏学事顧問が介護保険と高齢者保健福祉計画の策定に顧問として関わるなど、これまでも深い関係を持ってきた。今回の協定締結を受けて、市川学事顧問は「ルーテル学院大学の責任を感じ、今まで果たしてきた社会貢献をより強め、関係者と協働して、各自治体の福祉の向上とコミュニティの再生に努めていきたい」と語った。
今月16日に調布市役所で行なわれた協定書の署名には、市川学事顧問、江藤直純学長、長友貴樹市長が立ち会った。同協定は、文化、教育、学術の分野で援助・協力することにより相互発展を図ることを目的としており、地域の福祉向上、福祉人材の育成支援、生涯学習、教育などに関する分野で協力していく。
特に福祉分野については、同大は調布市の福祉行政だけではなく、市社会福祉協議会や民間非営利福祉団体などとも関わりを持ち、住民や専門職の研修・講演、計画策定・実施・評価など、様々な実績を持っている。江藤学長は「今回の協定が、本学の研究や教育の資源で地域社会に貢献するための具体的な手がかりとなるよう望んでいる」とコメント。市川学事顧問は「育ってきた木に『つぎ木』をしていくように、今まで行政や市民が作ってきた地域福祉をもとに、調布市にあったプランをどう作っていくか考えていきたい」と語った。長友市長も「福祉部門で多大なる御協力をいただいていたルーテル学院大学と協定を締結でき大変嬉しく思う。この協定を契機に、さらに良い事業ができればと思っている」と、協定締結を歓迎した。
同大は、1909年に熊本市で開校した路帖(ルーテル)神学校をそのルーツとする。市川学事顧問は「ルーテル学院大学は、神学校から生まれた大学です。したがって、ルターの言葉のように、『自分のためでなく、隣人のために生きて、仕える生に神の祝福があるように』というミッションに沿って、困難に直面する人々を支援する人材の養成、バックアップは大切な仕事と思っています」と言う。
調布市以外の近隣市区とも親密な協力関係を長年継続しており、地元の三鷹市とは、福祉、教育、心理関係などで強い関わりを持っている。また、一人暮らしの高齢者宅などを訪問して話を聴く傾聴ボランティア、自らが住む地域を大切に思い、地域の課題発見や、福祉活動の企画、様々な住民や当事者の力を活用し、地域ケアネットワークの活動をサポートする住民の活動者である地域福祉ファシリテーターの養成を進めている。ファシリテーターは、三鷹市、武蔵野市、小金井市の3市行政および3市社会福祉協議会との協働事業で、ルーテル学院大学コミュニティ人材養成センターが実施している。