インターナショナルVIPクラブ船橋の主催による集い「光か闇か 人生の選択」が14日、船橋市勤労市民センターで開催された。VIP船橋は2009年の発足以来、毎月1回、国際的に活躍するクリスチャンのゲストスピーカーを招き、講演会を行っている。
この日のゲストスピーカーは、牧師であり、小さな命を守る会の代表である辻岡健象氏。辻岡氏は、1984年に胎児の人権を守るために同会を発足。以来、中絶防止、養子縁組の相談、命と性に関する啓蒙活動、中絶体験者へのキリストの福音による救いの提供を柱に活動を続けている。
講演は、辻岡氏の伝道マジックと腹話術から始まった。「小さな命も年を重ねた大きな命も、聖書は『わたしの目には、あなたは高価で尊い』(イザヤ43:4)と教えている。胎児の命もお母さんのお腹の中に宿った瞬間から神様の目から見たら尊い命なのです」と講演を始めた。
4人兄弟の末っ子として生まれた辻岡氏は、実は自分も中絶されるかもしれない命だったことを後になって兄から聞いたという。「不思議な導きですね。その私が今、こうして小さな命を守る活動をしているとは」
日本における中絶手術件数は、届け出があるものだけで年間約30万件。しかし、辻岡氏は「これは氷山の一角。未届けのもの、いわゆる『ヤミ』と呼ばれるものを合わせると年間300万件から400万件くらいになるのではないか。また、日本の優生保護法では、『経済的な理由で子どもを育てられない場合』のみ、中絶が法的に許されているという。そのため、届け出の90%以上が『経済的な理由』と話し、そのほとんどが夫婦の子どもである」と話す。
出生前診断などにより、性別・障がいの有無が分かるようになったのも原因の一つ。しかし、「神からの戒めの中で、最も重要なのは『殺してはならない』ということなのでは」と辻岡氏。自分の命、人の命を私物化してはならない。「神は御自分にかたどって人を創造された」(創世記1:27)というように、我々は神の姿に似せて創られた者なのだ。「それを私たちが殺す権利はどこにもない」と辻岡氏は話す。
「人から取った物は返すことができる。うそをついていたら、何年経っても何十年経っても『あの時はすまなかった』と謝ることができる。しかし、人の命を奪ったら、どうなると思いますか」と問いかけ、ある病の中にあり、死を前にした女性の話しを始めた。彼女は若い頃に中絶をした。彼女は辻岡氏に尋ねた。「私は死んだら、天国に行けるでしょうか?」と。辻岡氏は答えた。「イエス様の十字架上での贖いを信じるしか、あなたに道はありません」
命は神様からいただいたもの。命を大切にして受け継いでいくことによって神の愛が輝く。今の日本は「性の乱れ」が甚だしく、辻岡氏は「このままでは、日本は終わりだ」とも話した。
「性」とは決して汚らわしいものではないはず。「しかし、性産業は年間6兆円の売上があるとも言われている。中絶を決意する中学生、高校生を数多く見てきたが、もはや妊娠をしてしまったのは、彼ら若い子どもたちのせいではない。大人の責任もあるのでは」と指摘する。サタンは、我々の本能や欲に働き掛けてくる。「アダムとエバがエデンの園で、食欲を攻撃されたように、現代の日本は性欲を攻撃されているのかも」と語った。
いかなる理由があっても、新しく宿った命には神の計画がある。「産む使命」と「育てる使命」があると辻岡氏は説明する。望まない妊娠であったかもしれないが、宿った命をこの世に誕生させ、育てられないのであれば、養子縁組などを経て、大切に育ててくれる両親の元へ送るのも一つの手段だ。さまざまな場面で中絶を決心する女性に出会うことも多く、「聖霊の働きを信じるしかない」と何度も繰り返し話した。
命に関わる「性」の話は、非常に大切。今まで教会も含めた日本の社会では、「性」の話はタブー視されてきた。しかし、「教会でも子どもたちにこのような話をする機会を作るのも必要なのでは」と辻岡氏は語った。