東京女子医大病院(東京都新宿区)で2月、子どもへの使用が禁止された鎮静剤「プロポフォール」が投与され2歳の男児が死亡した事故で、同大の高桑雄一医学部長らが5日、厚生労働省で記者会見を開き、過去5年間に14歳以下の子どもの患者55人にプロポフォールが投与されていたことを明らかにした。時事通信などが伝えた。
同病院では2月、首の手術を受けた男児が、集中治療室でプロポフォールを投与されたあと、容体が急変し死亡した。記者会見での発表では、2009年から2013年までの5年間に55人の子どもにプロポフィールを投与したことを明らかにした。この55例では死亡した子どもはいなかったという。
事故後、警視庁が業務上過失致死の容疑で捜査を行っているほか、病院側も調査を行っていた。今回の発表は病院側の調査とは別に、同大の教授会が麻酔科医らを対象に行った調査だという。
病院側が調査結果を発表する前に、教授会が今回の会見を開いたことについては、「病院側に開くよう教授会から要請したが反応がないため」(共同通信)、「死亡から3カ月以上経っても病院が社会に対して説明しないのは問題だと考えて会見に踏み切った」(NHK)と説明した。
髙橋医学部長は、患者に十分な説明をせずにプロポフォールが投与されていたとして、「患者に同意を得ずに投与しているのは不適切で、すべての教員に対して再教育を行い再発防止に努めたい」(NHK)と語った。
一方、同病院で子どもに対してプロポフィールが常習的に投与されていたことについては、記者会見の前日、国内主要紙が病院関係者の話として伝えていた。
プロポフォールは、海外で子どもの死亡例が報告されたことから、国内では2001年から、集中治療室で人工呼吸中の子どもへの使用が禁じられている。