スーダン外務省は、「背教」「姦通」などで死刑判決を受けたメリアム・ヤヒア・イブラヒムさんが釈放されるとアブドラ・アズラグ外務次官が語ったいう一部の報道に反論した。スーダンに関するニュースメディアであるスーダン・トリビューン紙など複数のメディアが1日以降に報じた。
メリアムさんは2~3日後に釈放されると外務省の官吏が語ったと、イギリスのBBCやフランスのAFP通信が31日に報じていた。また、「彼女が処刑されることは決してない。私はこれに確信を持っている」とアズラグ外務次官が5月31日に英サンデー・タイムズ紙に語ったと同紙は1日に伝えていた。
しかし、スーダン外務省は、アズラグ外務次官が数日後に彼女が釈放されるという発言はしていないと否定した。
ところが、スーダン・トリビューン紙は、アル・アラビ・アル・ジャディード紙が、首都ハルトゥームの大統領官邸からの複数の情報筋の話として、大統領が刑法で与えられた権限によって今週中に彼女に恩赦を与える宣言が出されるという発言を引用したと伝えた。
一方、スーダン・トリビューン紙が5月30日に伝えたところによると、スーダン教会協議会(SCC)は彼女の死刑を強く非難し、「スーダンのキリスト教徒に対する明確かつ直接的な迫害」だと表現した。
同紙によると、SCCはスーダンのローマ・カトリック教会とスーダン聖公会、およびコプト教会を含むいくつかの教会による署名で先々週に出された声明文の中で、同国裁判所の判決の取り消しと彼女の即時釈放を要求した。
声明文は、裁判所の判決が2005年の暫定憲法31条(法の下の平等)と38条(信条と礼拝の自由)に違反しているとするとともに、スーダンは信教の自由を求める国際人権規約の締約国であることを強調したという。また、自らの道義的・宗教的立場に対する彼女の忠実さを称えるとともに、裁判所の判決が憲法や国際条約と矛盾していると強く非難した。
さらに、平和の基礎と宗教の共存を強めるようあらゆる社会各層に呼びかけ、社会構造の結合を脅かすあらゆる行いを放棄する必要性と、オマル・ハサン・アフマド・アル=バシール大統領によって開始された対話の取り組みを強調。憲法や国際人権条約を順守するべく、スーダンのキリスト教徒の権利を損ねる全ての法律を見直すよう要求した。
メリアムさんに対する判決については、ハルトゥームにあるスーダン聖公会内務管区も5月21日付で報道声明を発表し、判決を強く非難。同国法務省にこの事件を再調査し彼女を直ちに釈放するよう求めていた。
一方、スーダン・トリビューン紙は2日、「人権のためのスーダン全国委員会」(NCHR)がメリアムさんの精神状態に疑問を投げかけたと報じた。