日本キリスト教協議会(NCC、小橋孝一議長)は1月27日、安倍晋三首相の靖国神社参拝に関連して、内閣府宛に議長書簡を送付した。小橋議長は書簡で、靖国神社は「人間(戦死者)を神(英霊)として祭るという特定の信仰によって設立されている神社(宗教法人)」だと指摘。諸外国にある無名戦士の「墓」とは全く性格が違うものだとし、政教分離の基本を崩し、信教の自由を脅かすもなどと批判した。
また、祭られている戦死者についても、戦争責任者であるA級戦犯が含まれており、「戦死者だけでなく戦争責任者であるA級戦犯まで神として祭った時から、諸外国の抗議・非難を浴び始めました。戦争推進者の考えと行動を身近に知っていた昭和天皇も参拝をやめました。国民も戦争を是としようとする動きに危機感を強めました」と言う。
安倍首相は昨年12月に靖国神社を参拝した際、第2次安倍政権発足1年目を参拝日に選んだ理由として「安倍政権の歩みをご報告をし、再び戦争の惨禍によって人々が苦しむことがないよう、不戦の誓い、決意をするために、この日を選んだ」と説明。その後も、先月22日にスイス・ダボスで開かれた世界経済フォーラム年次総会での基調講演で「不戦の誓い」を強調するなど、今回の靖国参拝が「不戦の誓い」をするためのものであることを説明してきた。
しかし、小橋議長は、靖国神社にA級戦犯が祭られていることから、「粘り強く説明していくと言われますが、神として祭った戦争推進責任者の前で『平和を誓う』という言い訳を誰が信じるでしょうか。総理が(ひいては日本が)信用を失うだけです」批判した。
さらに、「靖国神社参拝は『特定秘密保護法』『集団的自衛権行使容認』『原発輸出』など一連の強引な行動と一体のものでしょう。総理が『取り戻そう』とする『日本』は『大日本帝国』なのですか」と言い、「靖国神社を国が設立・管理し『祭政一致』『富国強兵』を推進した大日本帝国が、どんな罪を犯し、どんな結末を迎えたか。それを体験していない総理に『危うさ』を強く覚えます」と危惧を示した。