赤字の状態が続き厳しい財務状況にあった日本キリスト教協議会(NCC、東京都新宿区、小橋孝一議長)が昨年度、黒字の状態に転換したことが明らかになった。最近公開されたNCCの機関誌『オイクメネー』に掲載された報告でわかった。
2011年度も支出が収入をわずかに上回る程度にまで回復していたが、2012年度は収入が支出を上回り、黒字に転換した。これまで、NCCでは機構改革が議論されてきたというが、その結果が財務の点で現れて来たと言えそうだ。
年々収入が減る傾向にある中で黒字転換できた大きな理由は、大幅な人件費の削減による。数年前まで人件費は支出全体の7割近くに上っていたが、これを2012年度までに約5割弱に削減した。依然として人件費が支出の約半分を占めている状態だが、これ以上人件費を減らすのはNCCの活動の継続性、発展性から見て慎重な議論が必要だという。
一方、収入の大半は加盟・準加盟教団・団体からの負担金により、全体の8割を超える。寄付・賛同金は収入全体の1割弱にとどまっており、「負担金に頼り過ぎず、寄付金・賛同金による収入基盤の強化を図ることが喫緊の課題」(桃井明男財務委員長)という。
NCCは今年で設立65周年を迎えたが、「NCCの財務状況はかなり改善されてきておりますが、それでも脆弱な財務基盤で予断を許さない状況が続いています」「現在、一歩一歩着実に運動の中身を整え、NCCが有用な存在であると感じてもらうように努力を続けておりますので、今後の働きと成果に期待していただき、なお一層のご支援・ご協力をお願いします」(同)としている。