関西大学経済学部でマクロ経済を学び、2年間のサラリーマン生活の後献身し、神戸改革派神学校を卒業、インドネシア宣教に8年間奉仕後現在世界宣教センター所長その他数々の委員長を務める日本を代表する世界的な牧師である奥山氏は昨今の世界経済の混乱について聖書の御言葉に即して説明した。
奥山氏はギリシャ経済問題の混乱について、欧州連合(EU)の中でも牧師家庭に育てられた首相であるドイツのメルケル首相が忍耐をもって対応し続けていることを称賛した。EU設立の歴史的経緯について、「EUが出来た原因は、『イエス様の御言葉に従いましょう』というクリスチャンが集まったことにある」と述べた。
EUは歴史を辿れば1950年5月9日にクリスチャン政治家のロベール・シューマンが「経済と軍事における重要資源の共同管理構想」を含むシューマン宣言を発し、欧州の安定と経済の発展を図ったシューマンの構想を基礎にして欧州石炭鉄鋼共同体設立条約が策定され、1952年7月23日に欧州石炭鉄鋼共同体が設立されたところまでさかのぼることになる。
奥山氏は「フランスとドイツの国境は石炭と鉄鋼の資源溢れる山脈が存在していたため、両国では対立が止まなかった。イエス・キリストの御言葉に従うことで争いを鎮めるため、キリストを信じる経済学者、政治学者が本気になって集まったことがEUの最初のきっかけになった」と説明した。
奥山氏は「『御言葉にまともに従いましょう』という人が集まり、イエス・キリストは争いを好まれないため、フランスとドイツ共有の資源として利益を分け合うという解決案が出たことで、独仏間の戦争が終戦に導かれるようになった」と説明した。
奥山氏は平和をつくることについて、「本気になってイエス様の御言葉に従いましょう。平和をつくる者は幸いで、平和はクリスチャンがつくりだすものです、天から降ってくるものではありません」と述べた。
竹島・尖閣諸島問題―共有のものにして利益を分け合うべき
またフランスとドイツの例に基づいて、現在生じている竹島・尖閣諸島の問題について奥山氏は、「どちらの国も資料を持って自分の国のものだと言っています。日本人は日本のもの、韓国人は韓国のものであると、資料によるとそのようになってしまいます。どちらも資料があり、自分のものと言い張っていては話になりません。共有のものにして利益を分け合うことで解決するべきです。イエス様の御言葉に従っていくことで平和をつくり出す道ができます。イエス様に従わず、自己中心になると何も解決の道も進みません。経済問題も同じで御言葉に従って『平和をつくろう』とするときに解決の道があります」と述べた。
奥山氏は正しい経済システムを構築することについて、ヘブル書13章5節を引用し、「金銭を愛する生活をせず、今持っているもので満足するべきである」と説いた。
ヘブル書13章5節について奥山氏は「経済問題で大事な御言葉です。お金は大事ですが、神のため、人のために一生懸命働くことでお金はついてくるとしても、お金を求める生活をしてはいけません。経済問題も、まずお金を求めようとするのではなく、平和をつくり出すように働くのが大事です。『景気が良い』ということは、金まわりが良くなるということで、金がまわらないと経済が悪くなります。株を買うと会社が繁栄しますが、買おうとする株がこの先価値が上がるか、下がるかが問題なのではなく、『その会社を支えて行こう』という思いで買うのが、正しい株に対する考え方です。平和をつくるため、世のため、人のためになる会社の株を買うべきです。株の売買における問題は、金銭を愛する生活に基づいて行うことにあります。株を差額で儲けようとする行為は、動機が自分の利益にあるのであり問題です。良い会社の株を買ってあげるべきです」と説明した。
奥山氏は経済問題の解決もイエス・キリストの御言葉通りに行うべきであることを強調し、世界近代史の中で世界恐慌が生じた原因やレーガン元米大統領の金融緩和策、小泉竹中政権時代の規制緩和策に見る日米関係ついてそれぞれの背後にあった動きを説明した。
株の売買で会社を支えるのではなく金銭的利益の追求を第一とする差額で儲ける売買の方法について、奥山氏は「差額で儲けることで経済をだめにしてしまいます。レーガン米大統領時代の規制緩和の結果、このような世界経済になってしまいました。株屋が差額で儲けることを許してしまったわけです。そして今も金銭を愛する連中が世界経済を動かしているから、世界経済が混乱しています。CDS(クレディット・デフォルト・スワップ)という債務不履行を保証する債券がさらに世界的に経済をだめにしてしまいました」と述べ、CDSの仕組みについてわかりやすく説明し、リーマン・ブラザーズ始めCDSを扱って破たんした数々の投資銀行の過ちについて指摘した。
また経済低迷状態にある中にあって政治経済ニュースでよく報じられる「公的資金投入」について奥山氏は、「我々が納めた税金を大会社に与えて救おうとすることです。我々の税金で国が会社を助けているということです。今世界中でそのようになっています。公的資金投入をしないと、大きな会社はやっていけない状態になっています。つまり庶民の税金で、大金持ちを支えている構図になっています。本来ならば、金持ちが貧乏人を支えないといけないのですが、庶民が金持ちを支えているおかしな構造になっています」と説明した。
さらに奥山氏は通貨アタックの仕組みについても説明し、これから価値が下落しそうな外貨を大量に借りてきて金融市場で売り出すことで、さらに売りが促進され国家破たんに陥る危機が生じる可能性があることを、イギリスを国家破産寸前にまで追いやった投資家ジョージ・ソロス氏の手法などを例に説明し、「金融市場ではこのようなことができます。つまり変わった人が一人いたら、国が破産するようにもなるのです。根本的に世界の経済システムが変えられないといけません。ヘッジファンドも曲者で、無い方が良いです」と述べ、通貨アタックでは外貨の価値が高いときに借りて金融市場で大量に売る仕組みになっているため、現在円高の日本も狙われる可能性があると指摘した。
社会の繁栄と平和をつくるために財産を用いる
奥山氏は世界経済のシステムや金銭を追求する売買の悪を指摘した上で改めて「金銭を愛する生活をしてはいけません(ヘブル書13・5)。株は人のため、世のためになるような会社の株を買うべきです。差額で自分のために儲けようとするのではなく、自分の財産を社会の繁栄のため、平和をつくるために使ってください」と促した。
また金銭を愛する生活について、奥山氏は自らいくらお金をもっていても幸せにはなり得ないこと、お金がないことで神によって満たされる平安と幸せがある体験をしてきたことを証し、金銭を扱うときに「いのちは財産にあるのではない(ルカ12・15)」ことを肝に銘じるべきであると伝えた。
奥山氏は神の御国のために献身する生について、「金銭を愛する生活をせず、今持っているものでちょうど良いと思うとき、何もすることが出来ないと思うかもしれません。しかし神様の仕事をしようとするとき、『やりなさい』というビジョンが来ます。ビジョンが与えられたならそれを行う他はありません。神様の仕事をするために『必要を与えてください』と祈ることが正しい方法です。お金があって初めて神様の仕事をするのではなく、今持っているもので始めるべきです」と説いた。
また全能なる神であるにもかかわらず、クリスチャンに献金をさせる理由について奥山氏は「神の業に参加させるためです。百億円でも与えることができる神様ですが、そのお金は、信徒から来るようにすることで、信徒がそれぞれ神の御国の業に参加できるようにさせています。神様だけで御国の仕事をされているのではなく、信徒皆を共に御国の業に参加させようとされているのです。神の御国のためにそれぞれの信徒が行った涙の祈り、訪問伝道、個人伝道の働きは皆神の御国に刻み込まれており、この世にあってやがては朽ちるものではなく、神の御国で永遠に輝くものとなります」と説明した。