家庭を取り巻く諸問題を研究する米保守派団体米家族研究評議会(FRC)のトニー・パーキンス氏は、声明文を通して「オバマ米大統領が同性婚を支持する見解を伝えたことは、同性婚に対してはっきりとした反対の立場を表明する共和党大統領候補ロムニー氏との立場の違いを表明したものであり、驚くべき見解ではありません」と伝えた。
全米結婚のための組織(NOM)共同創設者のマギー・ガラファー氏は、「オバマ米大統領は同性婚を容認する立場を取ることで、米国民の中の同性愛者のためにも、自身が存在している意味を伝えられたと思います。米国民に自身の立場について偽りを伝えることは間違いであり、政治的な意味合いで考えるのならば、私たちはオバマ大統領の見解を歓迎いたします。しかし、これは一つの大きな過ちであったとも思います。今ロムニー氏とオバマ米大統領の間の見解のはっきりとした違いを知ることができました。11月の大統領選を考えれば、米国の大統領が同性婚を支持する見解を示したことは良くない決断だったと思います。結婚に関しては共和党大統領候補の方が有力な立場を取っていると思います」と伝えた。
オバマ大統領は9日のABCニュースのインタビューで、「同性愛のカップルも結婚できるように合法化が進んでいくことが望ましいと思っています。個人的にこのような見解を伝えることが重要だと思っています」と伝えていた。バイデン米副大統領も6日放映されたNBCニュース「ミート・ザ・プレス」で同性婚を容認するコメントを伝えている。
米保守派団体「伝統的な価値連合(TVC)」のアンドレア・ラファティ氏は「米大統領として同性愛を支持する見解を示されたことは、大胆な決断であったと思います。6日のバイデン副大統領のコメントによって、オバマ米大統領はそのような見解を示さざるを得なくなったのかもしれませんが、これまでオバマ政権は数年間同性愛について容認する姿勢を示していました。オバマ大統領はいつも同性婚について容認する立場をとりながら、米国民の反感を招くことを恐れてその見解を公にはしないできたと思います。オバマ大統領は新たな友人が必要だと思います。オバマ大統領の政治は、ウォール街、金融投資家、中小企業家など、原則に基づいたリーダーシップを必要としている米国民から全く外れた道筋を辿ってはいないでしょうか」と述べた。
一方宗教間同盟のウェルトン・ガディ博士は、オバマ大統領が同性婚を支持したことに対して称賛の意を示し、「オバマ大統領は米国のいのちにおける歴史的に重大な見解を示されました。彼の声明は、宗派間のイデオロギーを超えて、米国憲法の原則を守らなければならないと言う彼の役割を明らかにするものとなりました。米大統領は憲法に基づいた彼の見解を述べているのであり、宗教が彼の大統領としての見解の基盤となるべきではないことを理解しています。今日の世界において同性愛者の人々の人権を否定することは、時代遅れの見解ではないでしょうか。私はオバマ大統領が私たちを低迷期を乗り越える為に導き、同性愛者にも同等の人権が認められる政策を展開して行っていただきたいと願っています」と述べた。
キリスト教徒であるオバマ米大統領は、ABCニュースにおいて同性婚を容認する理由について「同性婚と言う問題に直面するとき、信仰に基づいてその根にある問題を考えるならば、キリストはただ私たちのためだけに犠牲されたのではなく、聖書の黄金則に基づいて考えるのならば、『他者を自分が扱われたいと思うように扱いなさい』という命令に従うべきではないでしょうか」との見解を述べていた。
信仰と自由同盟会長兼創設者のラルフ・リード氏はオバマ大統領の同性婚を支持する見解について、次期大統領選に更に多くの支持者を獲得するための決断であったのではないかとし、「4年前、オバマ大統領はもし大統領に選ばれたならば、年収25万ドル以下の納税者に対する増税はしないことを誓っていました。また任期の最後までに財政赤字を半減させると宣言していました。そして伝統的な男女による結婚を支持する立場を示していました。しかしそのすべてが今破られています。失業率が高まり、深刻な経済低迷の最中となっている米国において、オバマ大統領は今秋大統領に再選されるためにも、同性婚に対する見解を転換する道を選んだのではないでしょうか。これはロムニー氏にとって今秋の米大統領選における予期しない利点を得たことにもなるでしょう」と述べている。
オバマ政権は1996年に成立した連邦法「婚姻擁護法」で「結婚が男女間のみに成立するものである」と規定していることについて違憲であると判断し、政府として同法が合憲であるとは主張していない。