【ワシントンD.C.】21日、米首都ワシントンD.C.にあるサウジアラビア大使館前で、サウジアラビアがエチオピアキリスト教徒を迫害する行為を止めることを要求する抗議運動が行われた。米クリスチャンポストが同日報じた。肌寒い同日の朝、数十人もの人々が抗議デモに参加したという。
抗議デモ参加者らは「信教の自由」「アブドラ国王へ―不法に拘留されているエチオピア人を解放せよ」などと書かれたプラカードを持ち、サウジアラビア国内でキリスト教の信仰のために拘留されているエチオピア人の解放を要求した。
抗議デモを組織した一人で人権活動家のカッサ・アヤリュウ博士は、米CPに対し、エチオピアのキリスト教徒がサウジアラビア王国で直面する迫害はずっと以前からあったものであることを伝え、「サウジアラビアのキリスト教徒への迫害は長らく続いてきました。今日の抗議デモはサウジアラビアで迫害が生じており、信教の自由が抑圧されていることを伝えるための運動の一環です。サウジ政府は同国で異なる信仰を持つ人々が互いに尊厳を得て存在できるようにするべきであり、米政府はサウジ政府が信教の自由を行使したために拘留されているすべての人々を解放させるように促すべきです」と述べた。
サウジアラビア西部にある紅海に面する大都市ジッダにおいて、昨年12月15日、家庭教会でキリスト教徒による祈祷会が開かれた際に、35人のエチオピアキリスト教徒がサウジ宗教警察の突入によって逮捕された。
国際クリスチャンコンサーン(ICC)によると、逮捕された人々の扱いは日に日に悪化しているという。ICCは「情報筋によると、逮捕された人々は裁判なしに刑務所に入れられ、いつ釈放されるかも告げられていない状態にあるとみられる。逮捕された女性たちは服を脱がされ不衛生な環境下で身体検査を受けさせられたため、悪環境のため病気になった女性も存在している。さらに病気になっているにかかわらず、適切な医療を受けられていない状態にある」と伝えている。
アヤリュウ博士は米CPに対し、「アラブの春」の波は徐々にサウジアラビアにも迫ってきており、サウジアラビアにも改革の波をもたらそうとしていることを感じていると告げ、「私たちは『アラブの春』の波は最終的にサウジアラビアまで到達すると信じています」と述べた。最近サウジ政府が女性の運転を許可するようになったことが、ひとつの兆しであるとも感じるという。
サウジアラビアは米キリスト教抑圧監視団体オープン・ドアーズによって世界で3番目にキリスト教が迫害されている国に位置付けられている。オープン・ドアーズによると「サウジアラビアには『信教の自由』は全く存在していません。法制度はすべてイスラム法に基づいており、イスラム教徒が他の宗教に改宗することは、死刑につながります。イスラム教以外の礼拝を行うことは禁止されており、サウジ政府が私的に他の宗教者の礼拝する権利を認めていたとしても、宗教警察はそれを許さないという状況になっています」という。
アヤリュウ博士によると、今後米国務省および国会議事堂でも同様の抗議デモを行っていく予定であるという。抗議デモの目的は連邦政府がサウジ政府に対し、他の宗教者の信教の自由を認める新たな法案を施行するように促すようにさせることにあるという。
21日の抗議デモはICCによって支援を受けて行われた。ICCでは世界各地のキリスト教への迫害行為に対するアドボカシー活動を行っている。