世界教会協議会(WCC)のオラフ・フィクセ・トゥヴェイト総幹事は同会議で、中東においてキリスト教徒とイスラム教徒が共通のビジョンを共有しながら、正義と平和を諸教会が追求していくことの必要性を改めて再確認した。
同会議においてトゥヴェイト総幹事は、中東はWCCにとってとりわけ関心の高い地域であり、中東諸国におけるキリスト者の存在が歴史的に重要な意味をもっていることを改めて伝え、信仰が大きな役割を果たす中東において、昨年2月にWCC中央委員会会議で表明された声明文を良く反映していくことが必要であると強調した。
トゥヴェイト総幹事は「私たちの生きた信仰は、中東の地域に根差したものであり、中東地域に根付く地域諸教会によって受け継がれてきた証しと繁栄の軌跡が存在しています。この地域の諸教会は初代使徒教会の時代から存続しています。キリスト教徒の存在なしには、すべての人類への神の愛を表す象徴ともいえる異宗教、文化、市民社会間の繁栄は危機にさらされることでしょう。」と述べた。
トゥヴェイト総幹事は、幅広い分野のイスラム教指導者らが同会議に参加したことを歓迎し、中東におけるキリスト教徒の存在の意義を強めることにイスラム教指導者らが取り組んでいることに感謝の意を表した。
中東域において平和と正義、自由と調和をもたらすという人類全体の共通の益のためにイスラム教指導者らがキリスト者の存在感を高めようとしていることについて「私たちは私たちの支持者が広範に及んでいることを明確にしたいと思います。WCCはこれまで長年の間、どのようにキリスト教徒とイスラム教徒が共に共通の益のために建設的な働きを継続的に行ってきたかについて幅広い分野における経験を有しています」と述べた。
一方でトゥヴェイト総幹事は、中東域のキリスト教徒が直面している課題について指摘し、中東域のキリスト教徒が政治的不透明感や継続的な紛争が生じていることで、身の安全に不安を感じていることに懸念の意を表した。
WCCは長年の間イラク戦争やパレスチナ領土の占有に伴うキリスト教徒の移民問題に関わってきた。トゥヴェイト総幹事は「私たちは中東域の課題に関して昨年取り組んできましたが、多くのキリスト教徒とイスラム教徒が中東域で将来の不透明感を感じながら生活しており、未だ多くの課題が残っています」と述べた。
イスラエルとパレスチナの和平のために取り組む諸教会の動きについても取り上げられ、トゥヴェイト総幹事は現在のイスラエル和平に関する状況は、エルサレムに住むキリスト者、その他信仰者にとって大きな懸念事項になっていると言及した。