最近の報道では、イランの最高裁判所が、イスラム教からキリスト教に改宗したとして死刑判決を受けた牧師のユセフ・ナダルカニ氏への再審請求の申し立てを行ったと伝えられている。
多数の報道によると、裁判所は既に再審調査を行うことを決めている。米国フォックスニュースは、高等裁判所がナダルカニ事件について、下級裁判所に再調査のための差し戻し請求を行ったと伝えているが、同氏は公的にこれらの事件についてまだ立証できないでいる。裁判所を信用することでより混乱を招く事件だけに、今のところ完全に再審を行うことができるかは不明だが、可能性の一つとしては残されている。
イラン学生通信(ISNA)は、「もし上訴して事件が最高裁判所に戻ってくるなら、もう一度再調査されるだろう」と伝えている。
ナダルカニ氏は2009年10月に逮捕され、昨年9月にイスラム教への背教で有罪判決を受けてから、イランのラシトにあるラカン刑務所に収容されていた。彼はイランの刑法に触れるような罪を犯していないにもかかわらず死刑判決を受けた。
「もし信仰を改めてイスラム教に戻るなら死刑判決は取り消される」とナダルカニ氏は述べた。しかし、同氏は控訴審でクリスチャンとしての信仰を宣言した。
世界的に注目されているこの事件は、多くの国際的なリーダーが批評し合っている。
英国の前ロチェスター司教マイケル・ナーチアリ氏は、ナダルカニ氏を救うために「緊急の調停」をイランのアフマディネジャード大統領に懇願した。
ナーチアリ氏は、「ナダルカニ氏が判決を受けた裁判所では、刑を執行することのみが重視されている。これは市民的、政治的権利について、国際規約とイランの憲法23条の両方に違反している」と訴えた。
さらにナーチアリ氏は、「裁判所のこの活動は正しいとはいえ、我々はナダルカニ氏への憐れみと慈悲をもってイラン政府に訴えたい。イランは長い間、伝統的な司法と憐れみをもってきた。我々はナダルカニ牧師事件においても、この伝統を支持し、イランの公正な権威が示されることを願っている」と語った。
また、ブラジルの上院議員パウロ・パイム氏は今月、同国の上院長ジョージ・サーネイ氏にイラン人牧師の支援活動についての嘆願書を提出した。パイム氏は、「国の法律に従い、イラン人牧師ユセフ・ナダルカニの支援活動を要求する」と主張している。
最近の報道では、イランの最高裁判所がこの事件について、同国の宗教と政治の最高指導者であるアヤトラ・アリ・ハメネイ師に尋ねるという異例の行動に出ていると伝えられている。
全米法律正義センターのセンター長であるジョルダン・セクロウ氏はフォックスニュースで、「ユセフ牧師は報道によって生かされており、我々はイラン政治の最高レベルに接触している。世界のメディアからの注目や我々の支援なくして、ハメネイ師に訴え出るほどのレベルに達したとは到底信じ難い」と述べている。
米国では、国務長官のヒラリー・クリントン氏による、イラン人牧師の自由を要求する書類に少なくとも39人の議員が署名した。
逮捕前にナダルカニ氏は400人強の会衆を導いていた。しかし、当局に対して、息子が学校でコーランを読むことを強制されたと訴え出た後に逮捕された。