日々聖書を読むことを日課とする米国人の多くが、ギリシャ語およびヘブル語の原語に忠実で、かつ読みやすい聖書を好む傾向が米調査機関ライフウェイリサーチの調査結果により示された。1日、米クリスチャンポスト(CP)が報じた。
調査では2000人の聖書愛読者を中心に、好ましい聖書訳に対するアンケートが行われた。聖書訳では、原語であるギリシャ語とヘブル語に忠実に翻訳する訳文と、翻訳者がただ原語に忠実に訳すのではなく、読者にわかりやすく原文の意味を伝えられる様に訳出を試みる訳文に大きく分けることができる。
今回の調査結果では、調査対象となった2000人のうち61パーセントの人々が原語に忠実な聖書訳を好むことが示された。今回の調査に参加した聖書愛読者らは、オンラインでの聖書訳に対する質問への調査にそれぞれ回答したが、調査結果の質を高めるために、質問へ回答する前に一か月間聖書を深く読むことがそれぞれの調査参加者に要求されていた。
ライフウェイリサーチ代表のエド・ステツァー氏は米CPの取材に対し、「調査の結果原文に忠実な訳を好む人が圧倒的に多いことが明らかになりました。聖書を日々読む人々は読みやすさと原語に忠実であることの両方の特質を聖書訳に求めていますが、この二つを兼ね合わせた聖書訳を作成することが難しいのも事実です。既存の英訳聖書の訳し方が良くないとは思いません。ただ人々は聖書を読んでより霊性を高めるためにどのような訳出の聖書が最も良いか見定めようとしていることが伺えます」と述べている。
「聖書訳において原語に忠実であることと読みやすさのどちらが大切だと思いますか?」と言う質問に対し、回答者らの75パーセントは原語に忠実である方が大切であると回答した。原語に忠実であること以上に聖書訳において大切なものがあると回答した回答者は32パーセント、読みやすさが比較的大切であると回答した回答者は14パーセント、読みやすさがもっとも大切であると回答した回答者は8パーセントであった。
ライフウェイリサーチのディレクターであるスコット・マッコネル氏は「実際の聖書の売上高がこのような回答結果と必ずしも一致していないのは興味深いことだと思います。というのも今回の回答者は聖書を日々愛読されている方に限定しましたから、実際の全聖書購入者の中のほんの一部の人々の特性しか示されていないということがあると思います。一般的な聖書読者らは、聖書の訳出の違いからそれぞれ好みが分かれるでしょうが、具体的にそれぞれの聖書訳にどのような特徴があるのかまでは気付いておられないのではないでしょうか。具体的なそれぞれの聖書訳に対する導入説明なしでは、ほとんどの聖書読者は聖書訳が原語から離れたものになってしまっていたとしても気づくことはないのではないかと思われます」と述べている。
回答者のうち68パーセントは理解しやすい言葉で書かれていることを好ましいとし、7パーセントは難しい言葉づかいを好むことが示された。また81パーセントが読んでいて楽しい聖書訳が良いと答える一方、4パーセントは読むのに困難さを伴う聖書が好ましいと回答した。また27パーセントは現代の言葉づかいで書かれた聖書訳が好ましいとし、46パーセントは伝統的な英語で書かれた聖書が好ましいと回答した。
また19パーセントは聖書に書かれてある英語の意味を理解するには高等教育が必要であると感じており、49パーセントは聖書に書かれてある英語を理解するのに高等教育は必要ないと回答した。
また誰が読んでも理解できる聖書訳であるべきだと回答した割合は63パーセントである一方、14パーセントの人々が聖書訳を理解するのに一定の勉強を要する聖書訳を好むことが示された。
また聖書訳の中に、深い洞察が書かれた聖書訳を好む人の割合は44パーセントで、22パーセントの人々は、より簡単に読める聖書訳を好むことが示された。
マッコネル氏は「車を買う人たちが、大きくて力強く、なおかつ燃費の良い車を好むのと同じで、聖書の読者たちも原語に忠実でなおかつ理解しやすい訳出を求めています。西暦2000年を過ぎた現代においても、この両方の要求を組み入れる聖書訳を作成することは未だ訳出者らにとって難しい課題ではあります」と述べた。
なお「神」と言う言葉の訳し方について、多くの聖書訳では旧約聖書では「主」と訳しているが、一方で原語に忠実に「ヤハウェ」と訳しているものもある。今回の調査では回答者の79パーセントが「主」という訳出を好む一方、「ヤハウェ」という訳出を好む人の割合は6パーセントでしかなかったことが示された。