西南学院大学博物館の開館一周年記念特別展「納戸の奥のキリシタン」〈生月島におけるキリスト教の受容と変容〉が14日から始まる。16世紀にポルトガルからもたらされたキリスト教を当時の人々がどのように受け入れ、どのような変化を遂げてきたのか、日本の風土に沿った形で引き継がれてきた「キリシタン」の生活の一端を紹介し、現代のクリスチャンたちへと改めて「信仰」を伝える。
1921年に建設され、「赤煉瓦講堂」の名で親しまれてきた建物は、福岡市の有形文化財に指定され、建築としての価値も高く評価されている。
期間中、簡素ながらも温かみのある端正な館内に、日本に根ざしたキリスト教文化を表す展示品が並び、迫害の中いろいろな形を通して信仰心を引き継いできた先人の知恵を紹介する。
当時キリスト教を絶やさないためにおこなってきた生活の中での工夫をさまざまな道具を通して伝え、過去に生きたクリスチャンたちの柔軟な姿勢と、受容の広さから、現在のクリスチャンが何を学ぶのか。
「現代の宗教のあり方とは、当時の生活のあり方と違っていました。当時は、家族として村としてコミュニティ全体という繋がりが強く、時には縛られることもあり、一人が『やめます』といって簡単にやめられるものでもありませんでした」と博物館学芸員の米倉立子(よねくらりゅうこ)氏。
個人個人の信仰心が守らせたのではない、全体としての信仰の繋がりが守らせた「キリシタン」の姿から、今日の教会に属するクリスチャンの姿を学ぶ。
同展は6月30日(土)まで。拝観無料。開館時間は午前10時―午後6時(入館5時半)、日曜休館。問い合わせは、博物館事務室(電話:092・823・4785)、またはホームページ(http://www.seinan-gu.ac.jp/museum/)まで。