NCC教育部の百周年記念礼拝・シンポジウムが11日、AVACOチャペル(新宿西神田)で行われた。各方面から115人が参加。吉高叶牧師(日本バプテスト連盟・栗ヶ沢バプテスト教会)が礼拝でメッセージを伝えた。シンポジウムでは、日本の教会教育を振り返り、これからのキリスト教教育のあり方を模索した。
日本キリスト教協議会(NCC)教育部は、その前身の日本日曜学校協会(NSSA)が設立されてから10日で百周年を迎える。礼拝では日韓在日キリスト教教育協議会などを通して関係が深い大韓基督教教育教会(KCCE)の許一龍(ホ・イルヨン)会長が祝辞を述べ、同部へ記念品を贈呈した。
記念礼拝では、同部の大嶋果織氏が同部の百年の略歴を披露し、吉高師がメッセージ「和解の網を打とう」(ルカ福音書5章1節〜11節)を伝えた。吉高師は、今日の人間世界の営みを「空しい網を打っている姿」とし、新たな百年に向かう同部が「イエスからいただいた癒しの網、赦しの網、和解の網を打っていくように」と語った。
シンポジウムでは、同部の設立百周年を記念して発行された『教会教育の歩み―日曜学校から始まるキリスト教教育史―』の編集に携わってきた小見のぞみ氏(聖和大学教授)、朴憲郁氏(パク・ホンウク、東京神学大学教授)と、日本福音ルーテル教会で信徒教育に取り組んでいる江藤直純氏(日本ルーテル神学校校長)がパネリストとして発題した。
小見氏は、教会教育の歴史編纂に携わりながら、残された史料に女性や子どもの名前がほとんど残されずになおざりにされており、日本の教会学校史において、このような「小さい者」がしいたげられてきたことを指摘した。その上で、日本の教会学校の歴史が男性、大人中心のものであり、小さな者の働きが隠されてきた歴史ではなかったのかと述べた。
また、朴氏は1977年の『日本における教会学校の歩み』の発行以来30年間にわたって日本の教会教育の歴史編纂が行われていないことに触れ、外見上の多様な活動とは裏腹に衰退の一途をたどったNSSAの姿、1984年には平均33人であった一教会あたりの教会学校生徒数が04年には12人と3分の1にまで減少している日本の教会教育の姿を反映しているのではないかと述べた。
江藤氏は、これまでの教会教育が「受洗」までの教育に終わっていたのではないかと述べ、受洗後教育の重要性を改めて訴えた。「教会教育は受洗がゴールではありません」と語り、単なる知識増加に終わるのではなく、実際の宣教に結びつく教育へ転換していく必要があると指摘した。