イスラエルで最大級のメシアニック・コングリゲーション(教会)「オハラー・ラハミーム(恵みの天幕)」の指導者エイタン・シシコフ師を迎えて4月30日、シオンとの架け橋、聖書に学ぶ会が共催する講演会が都内で開催された。まず始めに、恵みの天幕のメンバーで広報担当のマーティ・シューブ氏がイスラエルでの同団体の活動内容をVTRで紹介し、5つのコングリゲーションが行う慈善活動、宣教活動を通して現された神の御業を証しした。
シューブ氏は、レバノンのイスラム教シーア派組織ヒズボラによるイスラエル領内へのロケット砲攻撃で160人もの被害者を出した昨年夏のレバノン戦争で「国民全体(のこころ)が揺さぶられた」と当時のイスラエル国内の状況を語った。
シューブ師は、神がイスラエルの民のこころを揺さぶられたことには大きな理由があるとし、神が民に「石の心を取り除き肉の心を与えるためである」 (エゼキエル書11章19節、36章26節) とその理由を聖句から説明した。
また戦争終了後に多くの大臣、さらには大統領までもが犯罪の容疑で訴えられ、国の指導者たちが物質主義という「偶像崇拝」に陥っている現実を深刻に語り、いま、神が石の心を取り除くためにイスラエル全体を大きく「揺さぶっている」と説いた。
その一方で神は「同時に肉の心を与えている」とシューブ師は語る。実際に現地で行われているコングリゲーションのいくつかの具体的働きについて紹介し、大きな神の御業が国内で現されていることを証しした。
イスラエルではいまも多くの女性が売春婦として働いている。コングリゲーションで奉仕しているリディアという一人の女性が街道に出ていって、売春婦の女性たちにいまの仕事から離れるよう直接注意を呼びかける売春婦撲滅のための運動を始めた。リディア氏の働きに賛同した多くの協力者たちがグループを結成し、売春婦の女性たちのためにみなが祈り始めた。いまでは、ほかの地区から「祈りにきてください」という要請を受けたり、「イスラエルにおける売春の実状」という演説を首相の前で行うよう国会での証言を依頼されたりするなど、女性の立場改善に向けた国内での大きな運動にまで発展している。
シューブ氏は、「メシアニック・ジューのおばあさんが、国に対して説教している」「それを見て国民全体が力を受けている」と喜びを語り、一人の信仰の勇気を通して現された神の大きな御業のゆえに主を褒め称えた。
またシューブ氏は、メシアニック・ジューや貧しい人々を対象に無料で給食を提供する「スープキッチン」という配給活動を通して生まれた新しい神の働きを紹介した。
配給利用者の中には多くの麻薬中毒者たちがいるが、その多くは道端で悲惨な生活を送っている。「スープキッチン」のスタッフの一人であるレオン氏は「放ってはおけない」と、生きる力をなくし、道端に座り込んでいた人々にナザレ郊外にある農場の働き口を提供する運動を始めた。
シューブ氏は、「私も行って話したことがあるが、彼らは (霊が) 飢え乾いていたため熱心だった」と職場の活気あふれる様子を伝えた。血液性の不治の病気を持つと診断された人が仕事を与えられて元気を取り戻し、いまでは病気が完全に癒されて職場で一生懸命に働いている。その姿に『私もそのように生きたい』と他の麻薬中毒者が勇気付けられ、自ら家族の元に帰る者、また何人かが共同で部屋を借りて自立して暮すようになる者が次々と起こされているという。
「小さなことかもしれません。しかしただそれだけではありません。神の御手が働いているのです」とシューブ氏は確信をもって語る。「神は民を揺する一方で、福音の手を差し伸べているのです。私たちの力によってではありません」と、全ての働きが神のものであることを証しした。
最後にシューブ氏は、「リディア氏、レオン氏など現地のスタッフのために祈ってください。もともと麻薬中毒だった者が兄弟となって、皆さんにお礼をしたいと願っています。イェシュア (イエス) の名によって導いてくださり、感謝しています」と、これまでの活動の支えとなった、日本の愛する兄弟姉妹からの祈りと援助に感謝の意を表した。