08年度から「社会福祉学科」、「社会起業学科」、「人間科学科」の3学科で構成する「人間福祉学部」の開設を計画している関西学院大学は26日、文部科学省に同学部設置を届け出た。同大によれば、同省の審査を経て夏ごろには正式に受理される見込み。
開設が計画されている人間福祉学部は、「福祉」をさらに進化させ、「健康科学」と「スポーツ科学」の領域が融合し、福祉を超えたより幅広いヒューマンサービスの分野で国内外で活躍できる人間育成を目指す。同大の社会福祉教育および研究は、1952年設立の文学部社会事業学科に始まり、これまで日本の社会福祉の分野で大きく貢献してきた。その伝統と歴史を受け継いでの学部新設となる。
人間福祉学部開設準備室長の芝野松次郎・社会学部教授は、「『福祉』と『健康・スポーツ』という、一見相容れない両者の融合によって、新たな可能性を存分に秘めた学部が誕生します。私たちは人間福祉学部の開設を通して、社会に新風を吹き込みたいと考えています」と他にない新しいものとしての同学部開設に期待を寄せている。
同大は人間福祉学部開設に合わせて、西宮上ケ原キャンパス第1フィールドの跡地に新講義棟「G号館」の建設を進めており、人間福祉学部の教育・研究の拠点とする。
人間福祉学部の教育理念は「三つのC」と呼ばれ、「人への思いやり(Compassion)」、「幅広い視野(Comprehensiveness)」、「高度な問題解決能力(Competence)」を柱としている。
「人への思いやり」はキリスト教主義に基づくあらゆる行動の動機付けとなり、「幅広い視野」は解決法を見いだす際の指針、「高度な問題解決能力」は解決に向けた実践的なスキルとなる。
1889年にアメリカ人宣教師ウォルター・ラッセル・ランバスによって設立されて依頼、「Mastery for Service」(社会と人のために、自らを鍛える)をスクールモットーとし、キリスト教主義に基づいた全人教育に取り組んできた同大は、人間福祉学部が開設されれば9学部、12研究科(人間福祉学部開設に伴い計画されている人間福祉研究科も含めて)を有するようになる。
創立120周年を迎える08年には、現在の中・高等部、大学・大学院に加え、新たに初等部(小学校)を設置することも既に決めており、初等部設置と人間福祉学部開設により、より一貫したキリスト教主義に基づく全人教育を目指していくことになる。