04年のスマトラ島沖地震以降、地震による被害が続くインドネシアで近年、被災地の支援活動を福音伝播の働きにつなげようとするキリスト教団体の動きがみられる。聖書の翻訳作業を世界的に支援するウィクリフ・アソシエイツの会長兼最高経営責任者(CEO)を務めるブルース・スミス氏は、被災地での支援活動を通して、クリスチャンが少数派の現地で新しい宣教の扉が開かれようとしていると語る。
インドネシアは、イスラム教徒が人口全体のおよそ9割を占める国だ。スミス氏は「人間関係を非常に重視する文化を持つインドネシアで、人々に霊的な影響を与えられるぐらいの信頼関係を構築するには通常なら何年も時間がかかってしまうかもしれない」と分析する。
そのうえでスミス氏は、「いまは他宗教の信仰を持つ現地の指導者たちでさえ、公の場でクリスチャンたちが始めた災害支援の働きに言及している。彼らのこころが開かれているうちに、一刻も早くクリスチャンたちがインドネシア再建の働きに加わる必要がある」と話している。
昨年5月27日には、マグニチュード6.2の直下型地震がインドネシアのジャワ島を襲い、死者は約6000人、負傷者は3万人に上った。また約60万人が家を失ったが、この数は04年のスマトラ島沖地震での約2倍に相当する。
ウィクリフは、被災地に耐震性のある施設を再建するため、過去数年にわたり5万6千ドルを支援してきた。今年の夏にも、地方の民家や教会再建のためのボランティア派遣を検討している。
ウィクリフによると、現地に派遣されるアメリカの学生たちの多くは単に救援活動だけでなく、現地で聖書の翻訳活動を支援する福音的な団体とウィクリフとの関係促進に大きく貢献しているという。
スミス氏は、「このような復興の取り組みを通して、私たちの聖書翻訳作業は具体的かつ実際的な影響を受けるのです」と語った。
ウィクリフ・アソシエイツは1967年から始まり、聖書の翻訳作業を通して現地での言語問題に悩む宣教師たちを支援してきた。昨年一年間で、1315人のボランティアを36カ国に聖書翻訳チームとして派遣。今年はさらに1500人の新しいボランティアを別の40カ国に送り、様々な支援活動を通して現地の人々に仕えていきたい考えだ。