JR福知山脱線事故で3人の犠牲者を出した同志社大学は事故発生からちょうど2年が経った25日、京都市上京区の今出川キャンパス内の礼拝堂で追悼記念礼拝を行った。小雨が降る中、遺族や教職員、学生など合わせて約300人が参列し、大谷實総長は礼拝で犠牲者の死を悼みながら、信じる者に約束された永遠のいのちについて語った。
礼拝前には15分間、心を沈めるためのオルガン演奏の時間「メディテーション・アワー」がもたれ、その後同大キリスト教文化センターチャプレンの越川弘英師の司式のもと追悼記念礼拝が執り行われた。礼拝では賛美歌167番「われをもすくいし」の斉唱、「あなたの鞭、あなたの杖、それがわたしを力づける」と詩篇23篇1‐4節が交読されたあと、大谷総長が奨励の言葉「悲しみをこえて」を伝えた。
JR福知線脱線事故は、追悼礼拝が行なわれたちょうど2年前の05年4月25日に同線塚口〜尼崎間で発生し、死者107人、負傷者562人を出すというJR発足以来最大の事故となった。同大では学生3人が死亡し、34人が負傷した。また、その3日後の28日には福島県の磐越道でバス横転事故が発生し、学生1人が死亡した。今回の追悼礼拝では、両事故でいのちを失った4人の学生のための祈りがささげられた。
大谷総長は、両事故は「安全が確保されていれば避けることができた」とし、事故によって若い、尊い命が奪われたことに対して「大きな怒りであり、痛恨の極みであり、そして無念」と悲しみをあらわにした。
しかし、「人のいのちには限りがあり、人間は、いずれ必ず死を迎えなければなりません」と語り、死別の悲しみを乗り越えて生きるためにはどうするべきかを考えて欲しいと訴えた。そして、内村鑑三の体験などを取り上げながら、「死別の悲しみを乗り越えるためには、死後の世界を考え、永遠の生命を信ずるほかにないと考えています」と、キリスト者に約束された永遠のいのちにこそ希望があることを語った。
また参加した学生に向けて、「キリスト教主義教育を受けている同志社大学の学生諸君は、祈りによって神に近づき、神の霊と一体化することに人生の目的を置いているのですから、永遠の生命を信じ、祈りを通じて友と会い、語ることができると信ずることこそが、悲しみを乗り越える力となることを知っているはずです」と語った。
脱線事故では、同大を含めて16の大学と1つの高校に通う学生・生徒合わせて26人が犠牲になった。同日、各地で追悼の行事が行なわれ、JR西日本主催の追悼式には遺族や犠牲者の友人ら約1500人が参加した。